2014 Fiscal Year Annual Research Report
新規開発したイオン選択的蛍光プローブを用いた神経細胞内マグネシウム動態の解析
Project/Area Number |
25750395
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
新藤 豊 慶應義塾大学, 理工学部, 助教 (30449029)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 海馬神経細胞 / マグネシウム / 蛍光イメージング / 神経伝達物質 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、分散培養したラット海馬神経細胞において細胞内マグネシウムイオン濃度がどのような外部刺激に対して変化するのか、そのメカニズムはどのようなものなのかを、これまで我々のグループで開発してきた蛍光プローブを用いた蛍光イメージングにより明らかにすることを目的に行われた。 最終年度は、神経活動に伴い細胞内マグネシウムイオン濃度が変化することをITOガラス電極や阻害剤を用いた実験により明らかにした。神経活動は細胞内カルシウムイオン濃度の急激な上昇を伴うため、カルシウムに対する選択性が低い市販の蛍光マグネシウムプローブではそのときのマグネシウム濃度変化は測定困難であったが、我々のグループが開発したプローブはマグネシウム選択性が高いためにその解析が可能であった。これらの結果をまとめて学会発表を行い、また追加の結果を含めて2015年も学会で発表予定である。 また、昨年度明らかにした一酸化窒素により誘導されるマグネシウムイオン濃度変化や、細胞内局所でのマグネシウムイメージング手法について学会発表を行った。さらに、GABAにより神経細胞内マグネシウムイオン濃度が上昇するメカニズムを明らかにし、現在論文を執筆中である。 研究期間全体を通して、神経細胞内のマグネシウムイオン濃度がGABAや一酸化窒素のような伝達物質や、神経活動自体により上昇することを、新規なマグネシウム選択的蛍光プローブを用いた測定により発見できた。またこれらのマグネシウム濃度上昇はミトコンドリアからの放出と細胞外からの流入が主要な経路であることを明らかにした。細胞内マグネシウムイオンは他のイオンチャネルの透過性や様々な細胞内酵素の活性に影響を与えるために、神経細胞内でのマグネシウムイオン濃度変化は神経機能の様々な機能に影響を与える可能性があり、本研究で得られた結果は今後の神経機能制御の研究において重要な知見であると考えられる。
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Research Products
(6 results)