2013 Fiscal Year Research-status Report
アポトーシス抑制タンパク質Survivinの阻害剤の探索と機能解析
Project/Area Number |
25750397
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
河村 達郎 独立行政法人理化学研究所, 長田抗生物質研究室, 基礎科学特別研究員 (60528561)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | Survivin / がん / 細胞死 |
Research Abstract |
様々ながんで過剰発現し、治療抵抗性の主な原因の1つと考えられているアポトーシス抑制タンパク質Survivinの阻害剤を取得することが本研究の目的である。これまでに化合物アレイを用いたスクリーニングにより、理研天然化合物バンク(NPDepo)が保有する約3万化合物の中から53種類のSurvivinリガンドを見出した。この中からSurvivin阻害剤を絞り込むため、本年度は以下の2点に注力した。 1. in vitroのアッセイ系の構築:Survivinによるアポトーシス抑制機構の1つが、同じくアポトーシス抑制タンパク質であるXIAPとの結合によるXIAPの安定化であると報告されている。そこで、化合物がXIAPとSurvivinの結合に与える影響を評価するためのプルダウンアッセイ系の構築を試みた。まずは、XIAPをクローニングし、大腸菌内で発現させ、リコンビナントXIAPタンパク質を調製した。アッセイ系確立のための詳細な条件検討は現在進行中である。 2. 細胞レベルでの効果の検証:上記53種類の化合物の中で、化合物アレイ上でのSurvivinとの結合シグナルが極めて強い1化合物(α-chloroacetamide)に着目した。この化合物はHeLa細胞にアポトーシスを誘導したことから、当初はSurvivinの機能阻害活性を有する可能性を考え、検証を行った。実際に、アフィニティービーズを用いた検証により、この化合物がHeLa細胞のSurvivinと結合することが確認できた。しかし、解析を行う過程で、この化合物の細胞死誘導活性の主な作用機序はSurvivinの阻害ではなく、細胞内グルタチオンとの結合、グルタチオンの枯渇により引き起こされる活性酸素種の産生であることが明らかとなった。他のSurvivinリガンドの効果も順次解析を行う。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
化合物アレイを用いたSurvivinのリガンドスクリーニングにより見出した1化合物の作用機序・効果についての研究成果がまとまり、論文を作成することができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の計画通り、化合物アレイを用いたスクリーニングにより取得した化合物のin vitroおよび細胞レベルでの効果の検証を行い、Survivin阻害剤の取得を目指す。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
前年度に残額が生じた理由は、本研究課題により得られた成果の一部をまとめることができたため、論文の作成を優先することとし、少し時間を割いたためである。 前年度行う予定であったin vitroアッセイ系の構築と化合物評価を今年度行いたいと考えており、前年度未使用額を充てたい。さらに、今年度請求額は当初の計画通り、化合物評価のための消耗品の購入や研究成果の発表(学会・論文)のために活用する予定である。
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