2013 Fiscal Year Research-status Report
中枢神経疾患における拡延性脱分極の光イメージングと光制御に関する研究
Project/Area Number |
25750404
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | National Defense Medical College |
Principal Investigator |
川内 聡子 防衛医科大学校(医学教育部医学科進学課程及び専門課程、動物実験施設、共同利用研究, 防衛医学研究センター, 助教 (20506505)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 脳梗塞 / 光イメージング / 梗塞周辺脱分極 / 無酸素性脱分極 / 光散乱 / 拡散反射光 / 中大脳動脈閉塞モデル / 低出力光治療 |
Research Abstract |
1. ラット脳低酸素モデルにおける無酸素性脱分極(anoxic depolarization: AD)の光制御・抑制効果の検証 虚血・無酸素状態で起きるADの近赤外光照射による制御・抑制効果を検証するため,ラット脳低酸素モデルを対象に経頭蓋骨的近赤外拡散反射光イメージングを行い,ADを表す光散乱変化の波の発生が光照射により抑制されるか検討を行った。非光照射群では,ADは低酸素開始から170±15 s(n=10)後に発生したのに対し,波長808 nmの半導体レーザー光を照射(7.5 mW/cm2)した群では154±5 s(n=8)後に発生し,光照射によるADの抑制効果は見られなかった。これはAD発生時のエネルギー低下が,光照射によるエネルギー産生を上回るためと推察された。同モデルでのADの抑制はひとまず困難と思われたため,局所脳虚血モデルを対象に検討を行う準備を進めた。 2. ラット脳梗塞モデルの作製と梗塞巣および梗塞周辺脱分極(periinfarct depolarization: PID)の光イメージング法の確立 ラット中大脳動脈閉塞モデルを対象に,経頭蓋骨的近赤外拡散反射光イメージングを行い,細胞・細胞小器官の形態を反映する光散乱変化により梗塞巣とPIDを可視化できないか検討を行った。中大脳動脈閉塞後,虚血中心部では散乱が増加し,その周りをPIDの発生を示す散乱変化の波が繰り返し発生,伝搬する様子が観測された。虚血中心部の散乱増加領域は,TTC染色で評価した梗塞領域と概ね一致し,梗塞による細胞の形態変化を捉えたものと推察された。この散乱増加領域は,PIDの発生回数の増加に伴い拡大する傾向を示した。PIDの発生は組織にエネルギー負荷をかけるため,これにより梗塞領域が拡大した可能性が考えられた。同イメージング法は,PIDの抑制効果および梗塞縮小効果の評価に有用と考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度の計画に関し,無酸素性脱分極に対する近赤外光照射による抑制効果に関する一定の見極めができた一方で,中大脳動脈閉塞による脳梗塞モデルの作製と同モデルに対する梗塞巣と梗塞周辺脱分極の光イメージング法が確立できたことから,総じておおむね順調に進展していると評価できる。
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Strategy for Future Research Activity |
ラット脳梗塞モデルを対象に,梗塞巣と梗塞周辺脱分極の光イメージングを行い,これに対して近赤外光照射を行うことにより,梗塞周辺脱分極の抑制および梗塞縮小効果がえられるかどうか検討を行う。光照射条件,特にパワー密度,総照射エネルギー,照射のタイミング,照射モード(連続,パルス)につき詳細な検討を行い,効果が最大となる条件を探索する。効果が確認された際には,脳血流,組織ATP量,組織溶存酸素濃度等の計測を行い,メカニズムの検討も行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
動物モデルの作製や光イメージングの実験系の構築に,既存の装置,実験材料を予想以上に活用できたためと考えられる。 次年度は,ラット脳梗塞モデルに対する近赤外光照射によるPIDの抑制効果,梗塞縮小効果を評価する実験を開始する。初めて行う実験のため,予期しない結果・問題に直面する可能性がある。そのときに必要となる新たな装置,実験材料,実験動物の費用に充てる計画である。
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Research Products
(7 results)