2013 Fiscal Year Research-status Report
共感的喜びを動因とする援助行動の神経メカニズムの解明
Project/Area Number |
25750407
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | National Institute for Physiological Sciences |
Principal Investigator |
川道 拓東 生理学研究所, 大脳皮質機能研究系, 特別協力研究員 (30596391)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 共感 / fMRI / 社会行動 / 援助行動 |
Research Abstract |
ヒトの高度な社会性は、援助行動によって他者と協調することが可能となることによるところが大きい。援助行動には相手の立場に立ち相手と同じ感情状態に自らをおくことで、相手の感情や意図を理解する共感能力が重要と考えられている。本研究は、共感が援助行動の動因になるかを検証するために、共感により惹起される感情反応(共感反応)に随伴して援助行動が発生することを調べることを目的とする。 今年度は、cyberball課題を元に申請者が開発した、困窮した他者を助けることが可能なタスクを利用して、fMRIを用いて実験的研究を推進した。今回の実験では実験パラメータを操作することにより、比較する条件間で要求される運動の質の差による脳活動をキャンセルアウトすることを出来る様にした。これにより、他者を援助することに関連する脳活動のみを抽出可能となり、純粋に援助行動に関わる神経基盤を評価することができる。20名のデータを解析した結果、他者が困窮した状況に陥ると、その相手に対する援助行動が行動データの変化という形で示されることを確認した。また、fMRIのデータから援助時には、報酬系である線条体の活動に加えて、pain matrixの一部である前部帯状回が賦活することを確認した。前者は共感的喜びの際に賦活することを示した先行研究と一致する活動で有り、後者は、困窮した状況にある他者に共感する際に賦活する領域である。これらから、共感的喜びと共感的痛みの両者が同時に働くことが、援助行動の動因として重要であることを示した。 こうした共感と援助行動の連関についての神経基盤の知見は、ヒト社会性について示唆を与えるもので有り社会への影響の大きさという観点からも非常に重要である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画した初年度の実験に関しては、解析まで完了し、当初たてた仮説通りの結果を得た。よって、当初の計画通り進展していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
計画通り進んでいるため、今後は、当初の計画通り推進する。平成26年度は、より自然な社会的行動における共感を対象として、研究を推進する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
投稿していた論文の査読に予想以上の時間が必要となったため、英文校正にかかる費用に関し、今年度必要とならなかったため 平成26年度に論文が査読から返って来た時点で、使用する。
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