2014 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
25750410
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
塩崎 博史 独立行政法人理化学研究所, 脳科学総合研究センター, 基礎科学特別研究員 (50630571)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 短期記憶 / 視覚 / 意思決定 / 行動選択 / ショウジョウバエ / 神経表現 |
Outline of Annual Research Achievements |
動物は過去の感覚経験を記憶することで、外界を効率的に探索する。本研究ではショウジョウバエを用いて、短期間保持される記憶の神経回路機構を検討する。昨年度にショウジョウバエの短期記憶を検討するための行動課題を開発し、ハエの飛行方向判断が、数秒前に呈示された視覚刺激に依存して変化することを明らかにした。本年度は、まず、ハエが課題遂行中に形成する記憶の性質を行動学的に解析し、ハエが視覚刺激の位置を記憶していることを示唆する結果を得た。次に、記憶の神経表現を解明するために、課題遂行中のハエから神経活動を計測した。当初の計画では、電気生理学的手法を用いて神経活動を計測する予定であったが、電極を脳内に刺入した状態でハエに長時間行動課題を行わせることが、技術的に難しいことが判明した。原因を検討したところ、電極を刺入するために行う外科的措置によってハエの飛行時間が短くなることがわかった。そこで、より侵襲度の低い、2光子励起顕微鏡を用いたカルシウムイメージング法により神経活動を計測することにした。その結果、神経活動を記録しながら、ハエに10分以上行動課題を行わせることに成功した。すべてのニューロンにカルシウム指示蛍光タンパク質を発現させた遺伝子改変ハエを作成し、先行研究により視覚情報処理および空間記憶に関係することが示唆されている細胞群を対象として神経活動の記録を行ったところ、これらの細胞が課題に関連する活動を示すことが明らかとなった。
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