2015 Fiscal Year Annual Research Report
東地中海諸国の政治・社会における縁故主義についての実証的研究
Project/Area Number |
25760002
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Research Institution | Tokyo University of Foreign Studies |
Principal Investigator |
高岡 豊 東京外国語大学, 外国語学部, 研究員 (10638711)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 地域研究 / シリア / レバノン / イラク / 部族 / イスラーム国(IS) / シリア紛争 / 国際的発信 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、シリアにおける地縁、血縁を通じた政治参加の実態を近隣諸国との比較や量的調査の手法を通じて解明することにある。研究実施期間中、シリアにおける紛争が激化するとともに、比較対象であるレバノンやイラクにおいても政情の混乱が深刻化したが、そのような情勢下にあったが故にむしろ本研究の意義は高まった。 平成27年度には、研究成果の発信の一環としてセントアンドリューズ大学で開催された国際会議やトルコ中東戦略研究所主催のシンポジウムで報告するとともに、シリア、レバノンの政治・経済で重要な役割を担うアルメニア人についての現地調査を行った。 期間全体を通じては、シリアと隣接国での政情の混乱や治安状況の悪化のため、レバノン、及びヨルダンで現地調査の拠点構築や連携先のを確立する作業の一部は断念を余儀なくされた。しかし、シリア紛争への国際的な関心が高まり、これについての研究実施や成果発信の機会が増したことを受け、セントアンドリューズ大学シリア研究所(25年度、27年度)、チェコ科学アカデミー(26年度)、トルコ中東戦略研究所(27年度)で対外的な成果発信の機会を得るとともに、上記の各機関を通じたネットワークの構築を達成した。また、シリア紛争の中で当初は「時間の問題」と考えられていたアサド政権が依然として存続し、これが短期間のうちに崩壊するめどが立たない中、アサド政権による地縁、血縁集団の選択的取り込みの実態を明らかにし、紛争の実態を解明する上で重要な成果を上げた。
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Research Products
(7 results)