2013 Fiscal Year Research-status Report
近代博覧会における先住民族「人間展示」に関する歴史研究:その転用と変遷に着目して
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25760010
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
宮下 敬志 立命館大学, 文学部, 助教 (50509346)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | アメリカ / 歴史 / 博覧会 / 帝国主義 / 先住民族 / インディアン / 西洋史 / アメリカ史 |
Research Abstract |
本研究の最終目的は、19世紀から現在までの博覧会においてなされた世界の先住民に関する展示を分析することに置かれる。研究期間中の到達目標は、欧州・米国・日本の博覧会における先住民「展示」のうち、生身の先住民の「人間展示」や、写真展示、資料展示について、その誕生と地域横断的な転用過程を明らかにすることである。 これらをふまえて、今年度は、19世紀後半から20世紀初頭にかけて行われた、アメリカ合衆国の国際博覧会、国内博覧会についての調査を行った。具体的には、1876年のフィラデルフィア万博、1883年のシカゴ万博、1901年のパン・アメリカン万博、1901年のトランスミシシッピ博、1904年のセントルイス万博や、そのほかの小規模博覧会について調査を行った。 今年度は、上述の博覧会で行われていた、政府公式(インディアン局ほか)の先住民展示や、スミソニアンが監督した人類学展示、または、民間団体が行った「娯楽的な見せもの」における先住民展示について、歴史学的な文献資料の収集と分析をなすことに研究時間の大半を割いた。とくに、これらに関連する資料集成である『The Books of the Fairs』については、集中して分析した。 これらの研究により、研究開始時に想定したシカゴ博、セントルイス博だけではなく、それらをつなぐ時代に行われた諸々の博覧会においても、先住民関連展示が少なからず見られたことが判明した。加えて、これらの博覧会について歴史学的な分析を可能にする文献資料も想定以上の点数が残されていることが判明した。 なお、研究成果の一部については、9月の日本アメリカ史学会大会にて口頭報告をなした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の主たる予定としていた、シカゴ博とセントルイス博については、十分な資料収集と調査ができた。一点、計画で予定していたアメリカ現地調査を実施できなかった点だけは予定外であったが、これは、研究の進捗状況を考えて、2014年度に一度でまとめて行ったほうがより効率的であると判断したためである。
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Strategy for Future Research Activity |
2014年度は、ヨーロッパで行われた博覧会を、2015年度は日本で行われた博覧会を分析対象にする。これは当初の予定通りであるが、ことヨーロッパについては想定している以上に資料の点数が多いために、開催国及びアメリカが他国に出展した展示・パビリオンに焦点を合わせつつ、研究をすすめていきたい。 なお、この手法を用いても、研究目標の達成には影響がないと思われる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究状況の進捗や対ドルの円安状況を鑑みて、予定していたアメリカ現地調査を単年度ごとに短期間行うのではなく、次年度まとめて長期間行った方が効率が良いと判断したため。 第1に、夏期に1ヶ月アメリカ現地調査を行う際の往復飛行機移動費・国内移動費・宿泊費として約60万円の支出を予定する。第2に、冬季に10日間ほどロンドン(大英図書館)の調査を予定し、これについては、約40万円の支出を予定する。第3に、国会図書館出張調査費や国内学会参加に関わる国内移動費として、約20万円を予定する。第4に、研究上必要な図書・物品費として、約43万円を予定する。
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