2014 Fiscal Year Research-status Report
琉球列島米国民政府(USCAR)フィルムと占領下の沖縄
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25760011
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Research Institution | Okinawa National College of Technology |
Principal Investigator |
名嘉山 リサ 沖縄工業高等専門学校, 総合科学科, 准教授 (80455188)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | USCAR / 琉球列島米国民政府 / 占領政策 / プロパガンダ / フィルム / テレビ |
Outline of Annual Research Achievements |
戦後のアメリカによる沖縄の統治時代に、琉球列島米国民政府(USCAR)は統治をスムーズに行う目的でプロパガンダ映像などを作成し沖縄住民向けに放映したが、その映像は沖縄の本土復帰後米国に移送され、その全貌は明らかにされていない。USCARフィルムを総合的に調査・分析することによって、アメリカがどのような意図で占領政策を遂行したのか、沖縄が戦後どのように復興し社会が変革していったのか、フィルムから見ることができる琉米関係の諸相などを探ることが本研究の目的である。 2年目にあたる26年度は、沖縄県公文書館で引き続き調査を行いながら、まず6月に日本映像学会のシンポジウムで、本研究で調査をした映像について発表を行った。また、7月に京都大学の研究グループ主催のUSCAR製作フィルム第3回鑑賞検討会にて報告や情報交換を行った。9月には米国国立公文書館やコロンビア大学図書館にて、フィルムや関連資料の調査、収集を行った。12月には第4回目のUSCAR制作フィルム鑑賞・検討会にて、資料調査の報告等を行った。12月から2月にかけて、USCARフィルムのリストを制作された元沖縄県公文書館の学芸員の方や、アメリカ占領時代にテレビ番組制作に関わった方、元USCAR視聴覚班職員だった方などから聞き取り調査を行うことができた。3月には再び米国国立公文書館で資料調査や映像・音声の収集を行い、Society for Cinema and Media Studiesの年次大会(於:モントリオール)でUSCAR,CIE,琉球政府制作の『起ちあがる琉球』(1953年)に関する研究発表を行った。学会ではニュース映画やアーカイブ関連のワークショップがあり、世界的な研究の動向などの情報も得ることができ有意義であった。本研究の調査状況や意義などについて、日本映画学会会報(第41号)や雑誌『越境広場』(創刊号)に執筆した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
アメリカの公文書館での調査を予定通り行うことができた。また、予定していなかった関係者からの聴き取りを行うことができ、資料からは得ることができない貴重な情報を得ることができた。フィルムの収集については、予想以上に制限が厳しく期待していた本数を収集することができなかったが、次年度にも実施出来そうである。最終年度に予定していた学会発表等を本年度に行うことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き沖縄県公文書館や米国国立公文書館などで資料調査を行い、上述の研究グループと協力しながらや映像収集を行う。関係者からの聴き取りもできるだけ行い、あらゆる角度から情報を収集したい。また、次年度は沖縄県公文書館で一般向けの講座を開講し、米国国立公文書館で収集した映像・音声資料を公開し、生ナレーション付の上映を行う予定である。論考をまとめ発表も行いたい。
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Causes of Carryover |
当初外部業者にフィルムの複製を依頼予定であったが、見積もりを取ったところ予想以上に費用がかかることが判明したため、米国国立公文書館で直接申請を行うことにした。少し時間がかかり、本数制限もあるが、無料で行っていただけるのと、資料調査もさらに行う必要があるため、渡航回数を増やすことにした。研究協力者と分担して映像収集にあたる予定である。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
主に国内での聴き取り調査や資料調査、研究報告にかかる旅費や、米国国立公文書館等での調査にかかる旅費に使用する。
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