2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
25760012
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
|
Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
吉良 智子 千葉大学, 人文社会科学研究科(系), 人文社会科学研究科特別研究員 (40450796)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
|
Keywords | ジェンダー / 人形 / 表象 / 近代 / 日本 |
Research Abstract |
1本研究の目的 近代化の過程において「人形」が「女児文化」に位置づけられ、「女性にふさわしいもの」とみなされた歴史に着目し、ジェンダー論および身体論を援用しつつ、近現代における「人形的身体」の創造について考察する。また、近代における女性の作り手、特に人形創作にかかわった女性たちの創造活動を明らかにすることを通して、創造される人形の身体と作り手の性別との連関に対する社会の期待や評価、および女性創造者の社会的位置づけについて検討する。 2当該年度の研究の成果 人形に関する基礎資料および作品の画像資料の収集を行ない、該当資料を検討・考察した。特に資料の収集と整理を中心に、基礎的資料の分析にあたった。具体的には以下の3点を中心に研究を進めた。(1)人形作家の活動・作品に関する資料の点検および収集、(2)「人形」に関連する平面作品の資料の収集、(3)女性作家の作品や資料の収集 以上の成果をもとに本年度は「研究ノート 近代日本における「人形」の再編成とジェンダー――「フランス人形」を中心に――」(『歴史=表象の現在』千葉大学大学院人文社会科学研究科 研究プロジェクト報告書 第279集、148-155頁)を執筆した。本研究ノートでは、収集した「フランス人形」に関する画像資料・文字資料などを元に、近代日本に新たに創造された「創作人形」というジャンルの再編成に、ジェンダーがどのように駆動していたのかを明らかにした。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
提出した研究実施計画の通りに概ね進んでおり、その成果を研究ノートの形で中間報告できたため。
|
Strategy for Future Research Activity |
前年度に収集した資料を元に、さらに詳細な考察を重ね、研究の精度を高める。今後は次の3点を柱に考察を行なう。 1「人形」に関わる概念、教育、団体展および展覧会などの制度に関する考察 2ケーススタディとしての女性の作り手に関する考察 3女性の作り手が介在した作品の多角的な検討 以上の3点を中心に考察を進め、補足調査を踏まえて全体の総括を行なう。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
図書や文字資料および画像資料の収集作業が、時間的・費用的双方の面において大変多く、調査のための旅費やその他の費用を使いきれなかったため。 次年度は、旅費を使用した遠隔地における調査をさらに充実させる計画である。
|
Research Products
(1 results)