2015 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
25770001
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
近藤 智彦 北海道大学, 文学研究科, 准教授 (30422380)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | アカデメイア派 / 懐疑主義 / ヘレニズム哲学 / ローマ哲学 / キケロ / ストア派 / プラトン / アリストテレス |
Outline of Annual Research Achievements |
4月下旬から5月上旬にイスラエルを訪問し、John Glucker教授をはじめ同国の古代哲学研究者と意見交換を行うとともに、テルアビブ大学およびエルサレム・ヘブライ大学で研究発表および講演を行った。このうち研究発表‘Stoic freedom and Plato’s Republic’は、2013年に行った研究発表を発展させ、ヘレニズム期におけるプラトン受容に関して新たな解釈を提示したものである(同内容の英語論文が2016年中に公刊予定)。 本研究による個別成果としては、ローマ期におけるプラトン受容の一端を論じた論文「古代ギリシア・ローマの哲学における愛と結婚―プラトンからムソニウス・ルフスへ―」を、一般向け書籍の一章として発表した。また、アカデメイア派のカルネアデスによるプラトン受容をめぐって、John Glucker教授らの先行研究を踏まえて再検討した論文‘Plato against Plato?: Carneades’ anti-Stoic strategy’を執筆した(編者・出版社に提出済)。なお、アカデメイア派懐疑主義に関する本研究の成果は、出版が計画されているキケロ『アカデミカ』の翻訳に反映される予定である。 また、ヘレニズム・ローマ哲学全般に関わる研究としては、昨年度の講演内容にもとづき、現代英語圏哲学を参照点としてストア派の幸福論を論じた論文「ストア派は内面的な幸福を説いたか?」を発表した。また、ヘレニズム・ローマ期のアリストテレス主義倫理学の系譜を辿ったBrad Inwoodの研究書の書評を担当し、特に古アカデメイア派のアンティオコスの位置づけをめぐって、本研究との違いを明らかにする機会となった。なお、一昨年来取り組んできた翻訳の完結編となる「アプロディシアスのアレクサンドロス『運命について』日本語訳・注(III・完)」は、2016年中に発表予定である。
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