2014 Fiscal Year Research-status Report
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25770006
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
相澤 康隆 三重大学, 人文学部, 准教授 (40647129)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 友愛 / 徳倫理学 |
Outline of Annual Research Achievements |
2014年度は、(1)徳倫理学における友愛概念の位置づけに関する研究と、(2)徳倫理学に関する英語文献の翻訳に取り組んだ。(1)近代の倫理学において、友愛という概念はほとんど考察の対象になることはなかった。だが、徳倫理学の再興に伴って、友愛もまた倫理学における主要概念のひとつであり、主要な考察対象となることが認識されるようになった。友愛の重要性はすでにアリストテレスがその倫理学書で強調しており、善く生きるためには友愛が不可欠であることを主張している。私はアリストテレスの『ニコマコス倫理学』の友愛論を手がかりとしながら、現代の徳倫理学において友愛概念がどのように位置づけられ、どのような意義を担っているのかを考察している。この研究の成果は2015年度に論文にまとめて公表する。(2)現代の徳倫理学は、1980年代以降、英米を中心に研究者の注目を集め、現在では膨大な量の研究の蓄積がある。ところが、日本では徳倫理学の概説書に相当するものは出版されておらず、また翻訳書もごくわずかしかない。こうした現状において、翻訳書を通じて徳倫理学の最新状況を紹介することには大きな意義がある。そこで私は、徳倫理学の理論と応用をまとめた最新の論文集の翻訳に着手し、共訳者の一人としてそのうちの四篇の論文を担当した。それぞれの論文のテーマは、「徳と幸福」、「徳倫理学と正しい行為」、「中国の儒教と徳倫理学」、「徳倫理学と生命倫理学」である。このうち、最初の二つは徳倫理学の基礎概念を扱った理論的考察であり、残りの二つは徳倫理学の応用に相当する。なお、当の翻訳書は2015年度中に出版される予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
友愛論に関する論文を執筆することができなかったため。
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Strategy for Future Research Activity |
2014年度に引き続き、友愛論研究と徳倫理学研究を平行して進める。友愛論に関しては論文を一篇以上書き上げ、徳倫理学については今年度から新たに別の翻訳に着手する。
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Causes of Carryover |
書籍購入費が予想を下回ったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
筆記用具等の物品費に充てる。
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