2014 Fiscal Year Research-status Report
自由意志と道徳的責任の判断にかんする心理的メカニズムの実験哲学研究
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25770013
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Research Institution | Nanzan University |
Principal Investigator |
鈴木 貴之 南山大学, 人文学部, 准教授 (20434607)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 実験哲学 / メタ哲学 / 自由意志 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、自由意志と道徳的責任にかんする実験哲学研究と、哲学における直観の役割の考察を中心としたメタ哲学の研究を実施した。 前者については、2014年12月に、南山大学において学部学生を対象とした質問紙調査を実施し、そのデータの予備的な分析を行った。この調査では、一般の人々が他行為可能性についてどのように考えているかということと、熟慮によって道徳的な判断がどのように変化するかということを調査した。調査結果については、2015年度中に論文化し、学術誌への投稿を予定している。 後者については、2014年5月に関西大学で開催された応用哲学会で、「メタ哲学ワークショップ:直観に直観は必要か」と題したワークショップをオーガナイザーとして企画するとともに、「哲学者は哲学的直観の専門家なのか」という題で発表を行った。2014年6月に慶応大学で開催された科学基礎論学会における60周年記念分野別ワークショップ「日本の心の哲学のこれまでとこれから」では、提題者として、「心の哲学は単一の専門領域なのだろうか」という題で発表を行った。2014年9月に豊田工業大学で開催された中部哲学会では、「哲学における直観の信頼性」という題で一般研究発表を行った。これらの発表では、哲学における直観については、その信頼性を疑う経験的な研究が多数存在することをふまえ、それにたいして哲学的直観、とくに専門家である哲学者の直観の信頼性を擁護する議論がどの程度説得的であるかを検討した。第三の発表については、その内容を論文化し、2014年12月に『中部哲学会会報』に投稿し、現在査読中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究計画は自由意志と道徳的責任にかんする実験哲学研究と、メタ哲学研究という2つの部分からなる。2013年度はメタ哲学研究を十分に進めることができなかったが、2014年度は、この部分について3つの研究発表を行い、1本の論文を執筆することができた。その結果、研究を構成する2つの部分について、おおむね計画通りの実施状況となった。
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Strategy for Future Research Activity |
1. 実験哲学研究については、まだ研究成果の論文化がなされていないため、2015年度中に論文化し、学術誌に投稿する。 2. メタ哲学研究については、直観以外のトピックについてはまだ研究を進めることができていないため、2015年度は、アプリオリ性など、他のトピックについても研究を進め、研究発表や論文化を進める。 3. 本研究全体の成果については、2016年度以降に単著として公刊する。
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Research Products
(4 results)