2014 Fiscal Year Research-status Report
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25770024
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
金 泰勲 立命館大学, 文学部, 任期制講師 (10608706)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 宗教概念 / 韓国国家記録院 / 朝鮮総督府宗教関係文書 / 朝鮮仏教 / 天理教 |
Outline of Annual Research Achievements |
2014年度においては、韓国・国家記録院での史料収集とその整理を中心に行った。特に同所が所蔵している植民地期における朝鮮総督府の宗教関係文書リストの作成が完成した。ただ、韓国語文になっているため、次年度において日本語へ翻訳する作業が必要となる。昨年度の成果を反映したものとして今年度5月に韓国日本近代学会において「許永鎬の「朝鮮仏教」認識について」というタイトルで研究報告を行い、8月に1週間集中的に韓国・ソンナム市にある同記録院で史料収集と整理に努め、よりその内容を充実させて10月の朝鮮史研究会第51回大会において「近代『朝鮮仏教』の読み方―許永鎬の認識を事例として」というタイトルで報告を行った。特に本年度に中心的に検討したものは1930年代の仏教関係史料である。朝鮮総督府の寺刹令によって管理されていた朝鮮寺院の状況が総督府の行政文書のなかでどのようにあらわれているのかを分析した。 また、これらの成果を踏まえ、植民地朝鮮における仏教の状況を日本仏教との関係で論述した研究書『植民地朝鮮と日本仏教』に対する書評を『宗教研究』第88巻第3輯/ 第381号に掲載することができた。 そして植民地的状況の現代的な意義を考えるべく、現代韓国の宗教状況に関する小論を「現代韓国における宗教と公共領域」というタイトルで『宗教と公共空間ー見直される宗教の役割』に掲載した。また、神道系新宗教として、天理教の現在的状況を把握するために、韓国の大韓天理教本部を訪ねて関係者と意見交換を行った。その成果については、「1930年代、『天理時報朝鮮版』を読む」というタイトルで6月に天理大学で行われた「宗教と社会」学会で発表を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
予想より朝鮮総督府の宗教関係文書の分量が多く、行政文書の作成部局によって散在しているため、その収集と整理に時間が多くかかっている。そして研究目的である宗教概念の帝国史的展開を把握するためには、諸宗派の状況を広く踏まえておく必要があり、その作業にも予想以上の時間を要する。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は昨年度に完成した朝鮮総督府宗教関係行政文書リストの日本語訳を完成させる。そして、これまで収集した史料を宗教概念の展開という視点で分類・再整理する作業を行う。今年度は研究最終年度として、その成果を日本と韓国の関係学会などで広く発表する。
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Causes of Carryover |
韓国国家記録院が2カ所に分かれていて、集中史料調査の現地でのスケジュール上今年度は1カ所のみ史料調査ができなかった。そして予定していた韓国の専門家の招聘が諸事情で延期されたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
今年度8月、9月にかけて2カ所の同記録院での最終史料調査を行う。また、成果発信のための研究会などを実施して韓国からも専門家を招聘して広く意見交換などを行う。
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