2016 Fiscal Year Annual Research Report
An Empirical and Fundamental Study on the Influence of Renaissance Humanism in the Kirishitan Era
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25770029
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
折井 善果 慶應義塾大学, 法学部(日吉), 准教授 (80453869)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 思想史 / キリシタン / 東西交渉史 / グローバル・ルネサンス / インテレクチュアル・ヒストリー / スペイン文学 / キリスト教史 / イエズス会 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の具体的作業は、①翻訳・翻刻のない資料の刊行、および②キリシタン版の海外所在の追跡、に大別される。 ①については、平成27年度暫定的に措定した欧文原典にもとづき、対訳分析を継続した。その結果、その欧文原典の措定に再検討の余地があることが判明した。原典と想定される『祈りと黙想の書』(1554)の要約普及版(1559)以外にも、類似の題名を伴って、別名・匿名の多種の要約版が存在することが新たに判明したからである。”欧文原典”というものを一つに特定すること自体困難であるという認識は、翻って、当時のヨーロッパ人による翻訳作業の複雑さを証明する結果ともなった。この結果は、現在継続して発表媒体を探索中である対訳原稿の、解題に収める予定である。 ②については、ドイツ・ニーダーザクセン州のヴォルフェンビュッテルにあるアウグスト公爵図書館(Herzog August Bibliotek, Wolfenbuttel)における、ローマ字キリシタン版『コンテムツスムンヂ』(1596)の存在が明らかになった。本書の現存は英オックスフォード大学ボードレイ図書館、伊ミラノ・アンブロシア図書館につづき世界で3例目となる。この在独刊本については、これまでヨハネス・ラウレス『キリシタン文庫』、天理図書館編『きりしたん版の研究』をはじめとするキリシタン版書誌に全く言及されていないとからも、インターネットによる書誌情報の重要性と、国際的なネットワークの必要性が当該分野においてあらためて認識された。同館の研究者によってプロべナンスや書誌情報等の調査が進められており、今後はこの調査動向を注視しつつ、研究蓄積が豊富な日本のキリシタン文献学研究によってそれを補完していきたい。
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Research Products
(2 results)