2013 Fiscal Year Research-status Report
国際美術シーンにおけるポップアートの広がりと日本の展開に関する比較文化的研究
Project/Area Number |
25770043
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
池上 裕子 神戸大学, 国際文化学研究科, 准教授 (20507058)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | ポップ・アート / 美術史 / 比較美術史 / 戦後美術 |
Research Abstract |
本研究は、第二次世界大戦後の国際美術シーンにおけるポップ・アートの広がりと、その日本の展開を、比較文化的な見地から考察するものである。まず今年度は、日本におけるポップ・アートの重要人物であった田名網敬一の調査に力を注いだ。まず、4~5月にかけてNANZUKA UNDERGROUNDで開催された彼の個展を視察・調査し、田名網氏のアトリエでも調査を行ったほか、7月から8月にかけてはオーラルヒストリーの手法を用いたインタヴューを3回行った。また、横尾忠則現代美術館や、草月会の資料室、また慶應大学のアート・リサーチ・センターでも調査を行った。 研究発表実績としては、2013年9月にケンブリッジ大学のシンポジウムで研究発表を行い、同じく9月にパリのエコール・ノルマルでも招待発表を行った。さらに2014年2月にはベルリン自由大学で発表し、3月には自ら国際シンポジウム「International Pop」を、神戸大学と上智大学の共催で開催した。アメリカから講演者としてトマス・クロウ、アンドリュー・パーチャック、ダニエル・キレスを迎えて、アメリカの東海岸、西海岸、そしてアルゼンチンにおけるポップ・アートの展開についてそれぞれ研究発表をしてもらうとともに、日本の研究者と活発に討議を行ってもらい、有意義なシンポジウムとなった。 さらに3月には『美術手帖』2014年4月号のポップ・アート特集に、グローバル・ポップについての論考を寄稿したほか、篠原有司男とエレイン・スタートヴァントについての論文を準備し、印刷中の状態である。ニューヨーク近代美術館がオンラインで発行している美術ジャーナル、Postにも2本論文を寄稿し、公開準備中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
篠原有司男や田名網敬一、また関連画廊などの信頼と協力を得られたことで、調査が計画以上に進んでいる。Walker Art Center企画の「International Pop」展図録論文にも、その成果を盛り込む予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
今後も今年度と同じように、アーカイヴでの調査と聞き取り調査を並行して行っていく。聞き取りについては、5月に横尾忠則に行う予定である。夏から秋にかけては「International Pop」展に寄稿する論文の執筆を行い、本研究をさらに発展させていくための基礎とする。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
予算は全て執行する計画だったが、業者の決済処理が遅れたため、次年度使用額が生じた。 決済処理が遅れた分の金額を、次年度の使用額から使用する。
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