2014 Fiscal Year Research-status Report
日本および東アジアの人形燈籠(lantern)制作技法の比較分析
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25770055
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
三浦 俊一 弘前大学, 大学院地域社会研究科, 研究員 (30633143)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 技法分析 / 人形灯籠 / ねぷた・ねぶた / 花燈 / 国際情報共有 / 中国:台湾 / 芸術学 / lantern |
Outline of Annual Research Achievements |
研究実施計画では、平成26年度に東アジア各地の人形灯籠制作技術者の地域間交流の機会として、国際シンポジウムを開催する予定であったが、以下を考慮して予定を変更した。一つ目の理由として、弘前ねぷたまつり関係者と連携して計画を進めていたが、平成26年度の弘前ねぷたまつりにおいて事故が発生した影響で、シンポジウムの開催が延期された。二つ目の理由は、中国・台湾の人形灯籠制作技術者が、独自に津軽地方を訪問する予定をもっていることである。これらを考慮して、計画を変更し、平成26年度は、より詳細な現地調査を実施することとした。地域間交流の機会としては、平成27年度に、中国・台湾の人形灯籠制作技術者が津軽地方を来訪した際に、個別に情報共有の機会をもつ。また、平成27年度に、本研究による論文を中国語に翻訳し、中国・台湾の人形灯籠制作技術者に発送配布する予定である。 平成26年度の研究成果は以下である。 1、青森県下北郡佐井村「箭根森八幡宮例大祭」 関係者への聞き取り調査を二回、祭礼の観察調査を一回実施し、技法や担い手を明らかにした。また昨今、佐井村は過疎化が進み、祭礼の担い手が減少している。それと同時に燈籠の制作技術者も減少し、現在では同村在住の技術者はおらず、今後再び津軽地方との交流を望む声が多かった。このような現状を明らかにできたことは意義深いと考える。 2、台湾「台湾燈會」 二度に渡り、中国・台湾を訪問し、人形灯籠制作技術者への聞き取り調査と、制作段階の観察調査、「台湾燈會」の観察調査、「台湾燈會」主催者への聞き取り調査を行った。津軽地方とは全く異なる歴史・文化において、成立・発展してきた技法を明らかにし、比較分析を行った。また、担い手や地域的背景の現状を調査した。人形灯籠の制作技法や担い手、地域的背景における国際的な比較分析は、先行する研究事例が無く、極めて重要な成果が得られたと考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の目的は、日本各地と東アジアの人形灯籠の制作における①制作プロセスと技法②担い手③地域的背景を明らかにし、④地域間交流の機会をつくることにある。 目的の①、②、③については、研究実施計画の変更によって、より詳細で綿密な調査を重ねることができたと考えている。 ④については、それぞれの地域の人形灯籠制作技術者や祭礼関係者などの自発的な交流の契機をつくれたと考えている。これにより一堂に会するシンポジウムの機会に代わり、それぞれの地域とより密接な交流を図ることができると期待している。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、これまでの調査で得られた貴重な知見を整理し、比較分析を行い、論文やインターネット媒体などによる報告を重ねる予定である。論文による報告は中国語への翻訳を行い、中国・台湾の調査対象者への発送配布を予定している。 同時に、中国・台湾の人形灯籠制作技術者の来訪の際に情報共有の機会を設け、上記の様々な報告の作成を進めたいと考えている。 また、可能な限り日本国内の事例調査も進める予定である。
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Causes of Carryover |
2014年度は、弘前ねぷたまつり関係者と連携して、人形灯籠に関するシンポジウムを実施する計画であったが、2014年度夏の弘前ねぷたまつりにおいて事故が発生したことの影響で、2015年度に延期して実施することとなった。また、シンポジウムへの出席を依頼していた台湾の複数の人形灯籠制作技術者が2015年度夏に、独自に青森県津軽地方を来訪する予定であることが分かった。これらのことを考慮し、シンポジウムを開催しての情報共有ではなく、台湾の人形灯籠制作技術者の来訪日程に合わせて、情報共有の機会を設けることとした。 よって、研究実施計画を変更し、2014年度は台湾の制人形灯籠作技術者の制作工場の観察調査、台湾燈會の観察調査、台湾の人形灯籠制作技術者および台湾燈會主催者への聞き取り調査を実施した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度使用額の使用計画としては、まず、本研究で執筆された論文の中国語への翻訳を予定している。翻訳された論文は、中国・台湾の人形灯籠制作技術者へ発送する予定である。 また、日本国内の人形灯籠制作事例の観察調査と聞き取り調査も同時に計画している。
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Remarks |
現在は、研究者本人が管理するwebページにて、研究内容の概要を平易にわかりやすく掲載している。今後、論文全文や映像資料などを詳しく掲載する予定である。
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