2014 Fiscal Year Research-status Report
映画の幕末=明治維新表象に見る女性の位置付け ― 《唐人お吉》を中心に
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25770068
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
羽鳥 隆英 早稲田大学, 付置研究所, 助手 (70636026)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 新国劇 / 剣劇 / 女剣劇 / 幕末 / 明治維新 |
Outline of Annual Research Achievements |
2014年度は幕末=明治維新表象の日本文化史に重要な位置を占める劇団「新国劇」(1917年‐87年)に焦点を絞り、映画・演劇・TVを視野に収めつつ多角的な研究を展開した。まず演劇学者児玉竜一教授(早稲田大学)監修の下、早稲田大学坪内博士記念演劇博物館の秋季企画展『寄らば斬るぞ!新国劇と剣劇の世界』(2014年10月1日‐2015年2月4日)および新国劇の元座員による劇団の財産演目『国定忠治』『殺陣田村』公演(2014年11月19日/早稲田大学大隈記念講堂)を統括した。また児玉竜一教授監修/拙編『寄らば斬るぞ!新国劇と剣劇の世界』を刊行し、映画学者・演劇学者による学際的寄稿を交えつつ、新国劇が開拓した剣劇や異性装を特徴に持つ女剣劇なども視野に収めた最新の研究成果を発信した。 これらの研究成果に関連し、以下の研究発表・講演を実施した。①第77回逍遙祭「演じられた坪内逍遙/澤田正二郎」(早稲田大学、2014年5月26日)では、新国劇の創立者澤田正二郎および澤田の恩師である坪内逍遙の映画・演劇における表象を概観した。②日本映像学会第40回大会「新国劇の映像学:新宿コマ劇場の連鎖劇」(沖縄県立芸術大学/2014年6月7日)では、新国劇が昭和30年代に試みた演劇と映像の連動的実践「立体シネドラマ」の位置付けを歴史的に分析した。③神戸映画資料館「『寄らば斬るぞ!新国劇と剣劇の世界』の世界」(2015年1月31日/2月1日)では、連続講演「新国劇をアメリカから見る」「玩具映画に見る日本剣劇史」を実施し、企画展の研究成果を京阪神に発信した。④新潟砂丘館「『寄らば斬るぞ!新国劇と剣劇の世界』の世界」(2015年2月8日)では、新国劇の元座員が結成した俳優養成所「日本時代劇研究所」滝洸一郎所長を招聘し、殺陣(刀槍による格闘)に関するワークショップを開催するなど、企画展の研究成果を北陸に発信した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
企画展の統括を通じ、演劇人・映画人との交流が深化し、真に有意義な研究を展開する展望が開けた。特に日本芸能史上の重要性に鑑みれば、先行研究の蓄積が希薄過ぎる新国劇に関連し、新たな研究の地平を開拓し得た。
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Strategy for Future Research Activity |
2015年度は早稲田大学坪内博士記念演劇博物館と神戸映画資料館を拠点に、海外での調査も念頭に置きつつ研究を前進させる計画である。また京都大学大学院の講義を通じ、研究成果を教育的にも発信する予定である。
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Causes of Carryover |
申請時の研究計画の一部に関し、2014年度に採択された早稲田大学の競争的研究費「脱占領期の独立プロ映画『唐人お吉』をめぐる多角的研究」の一環で効率的に実施し得たため、本研究の請求額の一部を繰り越した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
前述の通り、早稲田大学坪内博士記念演劇博物館の企画展と連動した2014年度の研究が予想以上に前進し、映画人・演劇人との互恵的な交流が深化したため、次年度使用額を聞き取りなどの調査に活用する計画である。
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Research Products
(5 results)