2014 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
25770074
|
Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
高橋 早苗(鈴木早苗) 新潟大学, 人文社会・教育科学系, 准教授 (10625122)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
Keywords | 夜の寝覚 / 寝覚物語 / 平安後期物語 / 院政期文学 / 欠巻 / 物語史 / 平安文学 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成26年度は引き続き『夜の寝覚』に関連するものを中心として、調査・検討をおこなった。今年度の出来事として特筆すべきは、『夜の寝覚』の新たなる断簡が京都において発見されたことだろう。実践女子大学で開催された4日間だけの展示企画に赴き、実物を確認できたのは望外の喜びであった。この断簡は、物語の失われた部分にあたるだけでなく、疑問視されてきた他の断簡との関連もうかがわせるものである。欠巻部分を持つ物語を研究するうえで、この発見が大きな意味を持ってくることは言うまでもない。今後はこの新たなる断簡も含めた考察を行うこととする。 今年度は、作品全体を捉えるための分析視点の一つとして、まず和歌の表現を見いだすことができた。その成果は(刊行は次年度になるが)論文として掲載されることになっている。次年度も引き続きさらなる視点を獲得し、物語全体を捉えなおしていきたい。 また、本研究においては、『源氏物語』などの平安前期文学作品の調査・検討を踏まえたうえで、平安後期文学作品と比較することも視野に入れている。そのためにも当該年度は、中古文学会をはじめとする様々な研究会に参加し、多角的な視野と知見を得ることを目指した。秋には平安文学研究の知が集う学会として代表的な中古文学会において、シンポジウムのパネラーとして発表・ディスカッションを行い、その成果は機関雑誌『中古文学』に掲載される予定(次年度)である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平安後期文学の研究という目的のもと、『夜の寝覚』を中心とした検討・分析を行い、その成果を論文にまとめることができた。またいくつかの研究会に参加して、知見を深めるとともに、パネリストとして『中古文学会』においてささやかながら提言まで行うことができた。よって、計画は順調に進展していると言える。
|
Strategy for Future Research Activity |
次年度も当該年度の活動を踏まえて続行する。具体的には研究会への参加や発表に加えて、報告書・論文の作成を目指す。最後の年度であることから、今後を見通したうえで一定の成果をまとめたい。
|
Causes of Carryover |
業務の都合で予定通りに調査に行けなかったため、次年度へくりこすこととなった。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
時間を調整し、調査等を予定通りこなしたい。
|
Research Products
(2 results)