2015 Fiscal Year Annual Research Report
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25770074
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
高橋 早苗 (鈴木早苗) 新潟大学, 人文社会・教育科学系, 准教授 (10625122)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 夜の寝覚 / 欠巻 / 平安後期物語 / 王朝物語 / 寝覚物語 / 物語史 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成27年度は最終年度ということで、これまでの調査・研究の総括を目指した。昨年度まで、欠巻部分を含む『夜の寝覚』作品全体の分析視点を獲得することを目指して検討を重ねてきたが、今年度はその成果の一端を論文にまとめることができた。『夜の寝覚』冒頭部分の表現に注目した考察の結果を、「『夜の寝覚』冒頭文の和歌とのちの展開―『竹取物語』を契機として」という題目で『国語と国文学』92-10(2015.10)に発表した。 また上記の論文でも考察を試みているが、『夜の寝覚』という平安後期作品を考察するうえで、平安前期作品への目配りは不可欠である。そこで『夜の寝覚』との比較をも念頭におきつつ、『竹取物語』『うつほ物語』『源氏物語』の考察をも試みた。その成果として、「『源氏物語』典拠研究の限界と可能性―若紫巻と司馬相如伝の関わりを事例として―」を『中古文学』95(2015.6)に発表した。また「親子の愛情表現としての「愛し(かなし)」―『竹取物語』と『うつほ物語』の特異性―」を『人文科学紀要』138(2016.3)に発表した。前者は『源氏物語』を漢籍受容の観点から論じ、後者は『竹取物語』『うつほ物語』に見られる特徴的な用いられ方を分析したものであり、いずれも平安文学作品の特質を明らかにしようとしたものである。 他作品との比較を視野にいれながら、『夜の寝覚』という作品そのものの構造や特質を解明する試みは、今後も必要だろう。昨年度は欠巻部分の資料が新たに発見されるということもあり、新出資料の分析にも着手することで『夜の寝覚』研究の可能性がさらに広がると考える。
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Research Products
(2 results)