2016 Fiscal Year Annual Research Report
General researches on Kamo no Mabuchi's waka and the interpretations of the Japanese classics
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25770078
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
高野 奈未 静岡大学, 教育学部, 准教授 (30646815)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 真淵 / 古典注釈 / 百人一首 / 伊勢物語 / 古今集 / 和歌 / 近世文学 / 国学 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、中世から近代までの古典注釈学および和歌の実態とその変遷を調査・分析し、賀茂真淵を中心とする近世国学者の古典注釈学と和歌の意義を新たに捉え直すことを目的とする。その最終年度にあたる今年度は、基礎研究を継続しつつ、新たな和歌史・古典注釈学史の構想を見据え、これまでに行ってきた研究の成果を総括する、以下の研究を行った。 1、真淵の詠歌と古典注釈学の関係性について、特に先行注釈における秘伝・秘説に対する批判および享受の様相をふまえて検討した。また、真淵が先行注釈における秘伝・秘説について、ありのままに述べているはずの上代の歌に、本来表現されていない意味までも読み込んでいるとして批判したことを明らかにした。 2、同じく秘伝・秘説に対する批判・享受に注目して、真淵の『伊勢物語』注釈のあたらしさについて考察した。先行注釈は、物語を比喩的に捉えているのに対し、真淵は言葉で表現されている表面上の意味を重視している。真淵の注釈学は、近世前期の注釈学に見られる教訓的理解から離れていく過程に位置付けられる。 以上2点についての論文は現在執筆中であり、来年度に発表予定である。そのほか、古典注釈学に関する研究論文を紹介する小文、「面白かった、この3つ」(『リポート笠間』61号、2016年10月)を執筆した。 研究期間全体を通じた研究成果に関しては、2016年度までの成果について、その一部を『賀茂真淵の研究』(青簡舎、2016年2月)において報告した。ただし、真淵注釈における秘伝・秘説の影響・受容に関する上記の論文のほか、真淵の著作の出版事情、真淵門流における真淵学の共有・享受・伝播の様相などについては、期間内に公表が間に合わなかった。早急にこれらの成果をとりまとめ、追って公表する予定である。
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