2016 Fiscal Year Annual Research Report
Study of"modern narration "- from JITSUROKU, JIKKI and KODAN of Meiji Taisho era , to historical novels, popular literature -
Project/Area Number |
25770088
|
Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
奥野 久美子 大阪市立大学, 大学院文学研究科, 准教授 (50378494)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
|
Keywords | 講談本 / 近代説話 / 日本近代文学 |
Outline of Annual Research Achievements |
最終年度であった28年度は、大阪市立大学で開催された上方文化講座(学生、市民向け公開講座)において、28年8月24日に、講座の1コマとして「明治大正期の木曽義仲像―芥川龍之介「義仲論」など―」と題して講演をした。芥川龍之介の「義仲論」にからめて、明治大正期の講談本における木曽義仲像を探ったものである。この講演の内容については年度内に活字にすることはできなかったが、来年度中に論文化するつもりである。 さらに28年度後半に取組んだ研究課題は、交付申請書の研究実施計画でも研究課題として言及した一休宗純である。一休講談は、講談・講談本の人気演目であり、実に膨大な数の一休に関する講談本や史談等がある。資料が膨大であるため、今回の研究では大正10年に発表された堺利彦の社会講談「一休和尚」を主な研究対象とし、さらに、大正から昭和期に一休に傾倒した代表的な作家の一人である武者小路実篤の大正期の一休ものも副研究対象として、これら両作家と近代講談本での一休像を比較研究する形で、研究をすすめた。50~60点の講談本や雑誌掲載作品を読み込み、整理するためにかなりの時間を要したため、28年度後半に取組むことができたのはこの研究のみであったが、論文としてまとめることができ、28年12月に入稿し、29年3月に校了している。「国語国文」平成29年6月号に掲載予定である。 昨年度までの3年間で、研究成果として論文5本、学会での研究発表2本がある。28年度の上記成果とあわせ、研究期間4年間の成果としては充分な内容が得られたと考える。 また交付申請書の「研究の目的」に記した「大正期の歴史小説を中心に、実録、実記、講談本にさかのぼって伝説の出所と変容を明らかにした上で、大衆文学へのつながりを検証し、明治大正期における〈近代説話〉の生成過程を明らかにする。」という目的も、ほぼ達し得たものと考える。
|