2018 Fiscal Year Research-status Report
19世紀英米間における戯曲出版と流通-Samuel French社を中心に-
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25770110
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Research Institution | Kushiro Public University of Economics |
Principal Investigator |
松浦 愛子 釧路公立大学, 経済学部, 准教授 (70457919)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | サミュエルフレンチ社 / 戯曲出版 / 国際著作権法 / 19世紀英国演劇 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度中に出版された研究成果により、英米間の国際著作権法環境下での上演権の歴史的な成立過程が明らかになった(Derek Miller著 Copyright and the Value of Performance 1770-1911, CUP, 2018年)。しかしながら、上述のMillerの著作権法制度史において、当時の法環境において演劇出版社の役割は、明らかではない。 本年度は、英米両国の法律を活用した演劇出版社サミュエル・フレンチ社が19世紀後半の英米国の法制度の改革に合わせ、演劇の2つの法的保護(上演権と出版権)を変容しつつあった法環境に応じて巧みに利用しつつ活動を行ったことを訴訟例から実証した。また、著作権の揺籃期であった19世紀に散見されるテクストの無断転用や2次利用に関して、デリダの発話行為(スピーチ・アクト)実践のモデルを理解の一助とすることを提案した。以上の研究成果をカナダで開催された19世紀の英国大衆雑誌についての国際学会において発表した。 また、該当劇作家による小説家の作品の転用の事例に関する研究成果の一部を、学術図書として出版したほか、関連学会のシンポジウムで研究成果を広く発信した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
家庭の事情により、2人の子の養育に通常より多い時間を費やさざるを得なかったことより研究活動に遅れが生じ、最終年度に研究成果をまとめるために予想より時間がかかる見込みが生じたため。
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Strategy for Future Research Activity |
研究成果を活字として発表する予定である。
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Causes of Carryover |
上述の通り、次年度使用が生じた理由は、家庭の事情により、2人の子の養育に通常以上の時間を取られたことより研究活動にやや遅れが生じ、研究成果をまとめる上で予想より時間がかかる見込みが生じたためである。
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