2015 Fiscal Year Research-status Report
アルヌール・グレバン作『受難の聖史劇』諸写本における異文と記号の研究
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25770121
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
黒岩 卓 東北大学, 文学研究科, 准教授 (70569904)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 仏文学 / 文献学 / 演劇学 / 詩作技巧 / 写本学 |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度に引き続き、関係する写本の転写を行った。今年度はとくにB写本、さらにF写本という二つの読書用写本の転写を行った。この転写により、前年度までに行っていたいわゆる上演原本の写本のみでなく、読書用写本におけるテクストの状態について、これまでよりも詳細な検討を行うことが可能になった。 また本研究課題の計画に組み入れられていた海外研究者の招へいについては、本年度12月にグルノーブル大学のエステル・ドゥーデ教授を招き、東京および仙台にて後期中世演劇に関する講演会を開催した。その際、ドゥーデ教授とは活発な意見交換・打ち合わせを行い、今後の研究課題の進展またその後の研究の展開方法について、多数の貴重な示唆を受けた。 さらに年度末には同志社大学にて、本年度までに転写を行った写本の詩作技巧の状態と伝承過程に関する研究発表を行い、ロマンス語文献学に従事する多くの研究者からの極めて貴重な示唆を受けた。 平成28年度に行う予定の成果のまとめに向けて、これまで転写した写本のチェックや作品の伝承過程に関する考察を深めていきたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
写本の転写については、昨年度末に本年度の課題とした写本の転写を終えることができた。他方でエステル・ドゥーデ教授の招へいを通じて、今後の研究や海外機関との協力関係について、当初の予想を越える有益な展望を得ることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
来年度は、場合によってはもう一つ写本の転写を加え、これまでに転写した写本の間の相互関係についての理解を深めたい。またもう一名の海外研究者の招へいを行い、日本およびフランスの中世研究者のネットワーク構築に努めたい。
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Research Products
(5 results)