2016 Fiscal Year Annual Research Report
Study of variants and signs in some manuscripts of the Mystere de la Passion of Arnoul Greban
Project/Area Number |
25770121
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
黒岩 卓 東北大学, 文学研究科, 准教授 (70569904)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
|
Keywords | 仏文学 / 文献学 / 演劇学 / 詩作技巧 / 写本学 / 翻訳学 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度はこれまでの『受難の聖史劇』の写本についての調査成果を積極的に発表するべく、とくにフランスの諸大学で研究発表を行った。 まず、これまでの写本転写の結果として明らかになった詩作技巧の乱れと定型詩の一つであるロンドーとの関係について、パリ=ソルボンヌ大学で発表を行った。その中でとくにG写本の特殊な性格についても指摘を行ったが、発表に立ち会った中世文学・中世演劇研究者からおおむね好意的な評価を得た。また写本間の相関関係についてはより詳細な調査結果をグルノーブル=アルプ大学において発表した。ここでもまたG写本のテクスト伝承上の重要性について指摘をしたが、パリ=ソルボンヌ大学の際と同様に複数の中世文学研究者から好意的な反応を得ることができた。 他方で、研究課題研究計画書に記されている小テーマの一つである『受難の聖史劇』日本語訳の試みへの関心から、日本における中世フランス文学・演劇の研究史の調査を行った。その中で、『受難の聖史劇』同様にキリスト教的な背景が色濃くまた日本語訳の種類も多い『ローランの歌』を例にとり、中世のテクストを日本語に訳す上でのアプローチについての発表を行った。これを通じて日本における中世フランス文学・演劇の研究および翻訳の試みについて、従来ほとんど指摘されることのなかった複数の文献を再発見することができた。 さらにパリ=ソルボンヌ大学名誉教授のジャクリーヌ・セルキリーニ=トゥーレ氏を招聘し、講演会・討議などを通じて中世末の韻文技巧についての知見を深めることができた。
|
Research Products
(5 results)