2014 Fiscal Year Research-status Report
亡命ロシア文学の帰還とその受容-ディアスポラ・トラウマ・視覚文化
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25770126
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
中野 幸男 東京大学, 人文社会系研究科, 研究員 (40640800)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | ロシア亡命文学 / トランスナショナル文学 / ディアスポラ / インターネット |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は10月1日にロシアにて国際会議「スラヴ文化の対話」にて「小説『われら』ロシア語版出版史:グレープ・ストルーヴェ、マイケル・カルポヴィチ、チェーホフ出版社アーカイヴ資料による」という題目でロシア語で発表を行った。11月2日には山形大学で行われた日本ロシア文学会研究発表会にて「ディアスポラ文学としてのロシア・トランスナショナル文学」という発表を日本語で行った。11月20日にはアメリカで開かれたスラヴ東欧ユーラシア研究協会(ASEEES)の年次総会にて、「グレープ・ストルーヴェとマイケル・カルポヴィチ:チェーホフ出版社と『ブラックリストに載った』作家たち」という題目の発表を英語で行った。11月25日には中国の国際会議にて「アーカイヴ資料によるエドマンド・ウィルソンとロマン・グリンベルク」という発表をロシア語で行った後に、11月26日には講義「ロシア亡命文学批評史:ミルスキー、ストルーヴェ、スローニム」をロシア語で行った。12月4-5日にロシアの国際会議「ジャーナリズムと文化」に欠席参加し、論文「インターネットと60年代反体制運動:LiveJournalのナターリヤ・ゴルバネフスカヤ」をロシア語で発表した。12月18日には北海道大学にて、同じテーマで日本語で発表を行った。2015年2月14日には国際ワークショップにて「ソヴィエト文明に『おやすみなさい』:作家シニャフスキーのフランス講義」という発表を日本語で行った。3月20日には早稲田大学にて行われた日本スラヴ学研究会研究発表会にて「フランスの亡命ポーランド雑誌KulturaとJerzy Giedroyc」という発表を日本語で行った。タンボフでの発表は論集に採録されたが、2014年末にニューヨークで出版されているロシア語雑誌「New Journal」277号に転載された。ペンザ大学での発表もペンザの論集に採録されている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は中国や国内などの、いくつか予想外の招待講演があったものの、おおむね予定通りに計画は進行している。本研究のテーマごとの研究発表も出揃ってきており、昨年度行っていたソ連収容所文学のトラウマから、今回は現代のロシア語話者の作家による非ロシア語文学を扱うロシア・トランスナショナル文学に関する発表を行い、また、60年代の反体制運動とサミズダートやタミズダートの興隆から、現代のLiveJournalにおけるオンライン上の活動まで、最近亡くなった詩人・作家ナターリヤ・ゴルバネフスカヤを対象とした現代の視覚文化にかかわる発表を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は2015年4月24日から28日まで、中国・西安外国語大学における国際学会、8月3日から8日まで日本・幕張で開かれるICCEES(中東欧研究国際学会)、9月28日から10月2日までアメリカ・スタンフォード大学で行われるパステルナーク国際会議、11月にアメリカで行われるスラヴ東欧ユーラシア研究協会年次総会での発表を予定している。その他、7月1日にロシア・ペンザで行われる国際学会にも欠席参加の上、論文の投稿を予定している。
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Causes of Carryover |
本年度は1000000円を請求し、その大部分は中国・アメリカ・ロシアの国際学会および資料調査のために旅費に充てられた。招待講演であった中国の四川大学での学会では宿泊費用など先方負担であったため残額が生じた。また旅費などの残額は書籍購入に充てられたが、全体で本年度は91,511円の残額が生じている。この残額は次年度の旅費・物品費に充てられる。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
翌年度分として300000円を請求している。本年度の残額の91,511円と合わせて、旅費・物品費に充てられる。本年度は4月に中国の学会、9月にアメリカの学会、11月にアメリカのASEEES年次総会の参加を予定している。大部分はその旅費に充てられる。
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