2013 Fiscal Year Research-status Report
第二次大戦下のパリ・シュルレアリスム:「ペンを持つ手」グループがひらく新たな展望
Project/Area Number |
25770128
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Gakushuin University |
Principal Investigator |
進藤 久乃 学習院大学, 文学部, 助教 (40613922)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | シュルレアリスム / レジスタンス / イメージとテクスト |
Research Abstract |
本研究を二カ年計画で進めるにあたり、平成25年度は、「ペンを持つ手」グループの機関誌などの資料収集と、関連テーマの発表を行った。 【資料収集】2013年10月7日から10月9日まで、パリの国立図書館において、「ペンを持つ手」グループの機関誌(『言葉の輸血』、『シュルレアリスムの地方分権化』など)の資料収集を行った。これらの資料は、すでに出版されている第二次世界大戦下のレジスタンス運動についての文献と照らし合わせながら分析を進めている。また、10月11日には、リヨン第二大学において、シュルレアリスムの研究者であるドミニク・カルラ氏と面会し、本研究の内容について話し合いを行った。 【関連テーマの発表】2013年9月30日から10月4日までドイツのバイエルン州アイヒシュテット=インゴルシュタット・カトリック大学にて行われた「運動の視覚・時間を形状化する」ワークショップにおいて、シュルレアリスムの画家、オスカー・ドミンゲスが、「ペンを持つ手」機関誌、『イメージによる世界の征服』で展開した「四次元」についての発表を行った。このワークショップで行われた発表は、平成26年度中に論文集として出版される予定であり、研究代表者の論文も掲載される予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
「ペンを持つ手」グループの資料の収集、分析については、順調に進んでいる。「ペンを持つ手」の機関誌、及びグループの前身となる「街灯」グループの機関誌はほぼすべて入手し、分析が進んでいる。 また、このグループが発展させたトピックのうち、「四次元」というテーマについて、すでに研究発表を行った。これを手がかりとして、主流となるシュルレアリスム・グループと対比させ、「ペンを持つ手」の独自性を明らかにすることができると思われる。 一方、「ペンを持つ手」の前身となる「街灯」グループが、どのようにしてシュルレアリスムを標榜し「ペンを持つ手」を結成したのかという問いについては、今年度の段階で答えが出るものではなかった。この問題は、グループの解散後までを含めた包括的な研究を通じて、初めて明らかになっていくと思われる。
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Strategy for Future Research Activity |
二カ年計画の二年目となる平成26年度は、資料の分析から得た結果をもとに、「ペンを持つ手」グループをシュルレアリスム史、レジスタンス史の中に位置づけることに重点を置く。先行研究を俯瞰しても、「ペンを持つ手」グループは、シュルレアリスムの文脈においても、レジスタンスの文脈においても、挿話的な位置しか占めていない。平成25年度に掘り下げたトピックをきっかけとして、まず「本流」とみなされるシュルレアリスムとの関わりにおいて「ペンを持つ手」グループの独自性を明らかにすることができるだろう。それと同時に、同時代にパリで展開された他のレジスタンス文学運動との離接点を明らかにしたい。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
「街灯」グループから「ペンを持つ手」グループへの移行に関する研究については、次年度に行うことが適当と判断し、その資料収集に関する経費を次年度にまわしたため。 上記のテーマについて研究を進めるための消耗図書費に当てる予定である。
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Research Products
(2 results)