2013 Fiscal Year Research-status Report
西洋古典に見る色彩表現―「色」の象徴性と社会的役割に関する考察
Project/Area Number |
25770131
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Kyoto Seika University |
Principal Investigator |
西塔 由貴子 京都精華大学, 人文学部, 講師 (60411948)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 西洋古典 / ホメロス / 色 / 色彩表現 / イメージ / phoinix / ギリシア文学 / シンボル |
Research Abstract |
西洋古典における色彩表現について、特ににホメロスに見られる色、色彩修飾語の一つである phoinix に取り組んだ。 ・夏季は英国リヴァプール大学に赴き、図書館・書庫で文献収集・論文執筆を行った。その間、エクセター大学とセント・アンドリューズ大学で開催された学会に参加し、海外の研究者と本研究内容について意見交換を行い、今後の研究の進め方等についてアドバイスを受けた。夏季の英国での研究をまとめた論文を、『京都精華大学紀要』に発表。 ・春季はロンドン大学にて開催された学会 (8th Ancient Science Conference)にて学会発表を行い、フィードバックとともに、今度の研究の展望や方向性について非常に有意義な情報やアドバイスを得ることができた。学会後、Classical Insistutite、British Musuem で古代における色彩表現について学び、その後、再びリヴァプール大学図書館に赴き、文献収集継続、また CA (Liverpool) の定例セミナーに参加。英国の後、ギリシア(British School of Athene)で研究活動に専念。British School と連関する Research Seminar, Workshop、Blegen Library 等々にも赴き、西洋古典についての見識を広げる事ができた。 その間、国立考古学博物館やアクロポリス美術館などに赴き、古代においても色彩表現が鮮やかに行われ、phoinix も含み、明るい色合い、または暗い色合いがどうのように認識され、合成されたのか、散在する古代の定理の一部を学ぶことができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
国内では入手困難、且つネット上でももう手に入らないような古い文献などを閲覧するのに予想以上に時間がかかった(特に アテネの Blegen Library )。ギリシアで、作品に見られる「色」の表現の一部でも目の当たりにできたのは良かったが、他の研究機関へ入るのに手間取り、そこは悔やまれる。次回はスムーズに行けるよう、万全の準備をして望みたい。また、海外での大学図書館・書庫では、閲覧を希望したあるべきはずの文献が不明で、問合せ状態にはなっているが、現地での時間は限られている。未だに未解明とされる phoinix の語源、その発祥、歴史的変遷についてのさらなる情報を得ることができなかった。今後の課題とする。
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Strategy for Future Research Activity |
・文献渉猟の継続ー昨年度できなかった英国、ギリシアの研究機関での文献、史料の収集・閲覧を行う。色彩表現、色彩修飾語に関する文献は多岐にわたる為、昨年度に引き続き、研究に必要な文献の収集を継続する。 ・欧米での学会発表の機会を求め、可能な限り応募し、結果を待つ。この点については、海外の研究者からの助言を参考にしながら臨む。 海外の研究者の助言は大変参考になり、今後もコンタクトを継続し、多角的な視点からのアドバイスを受ける。Classical Institute, British Musuem, British School of Athens では閲覧すべき文献がまだまだ多く、限られた時間内では限界があったので、今後の分析考察の為、再度訪問も考慮している。British School of Athens の membeship を獲得したことにより、他の研究機関が所蔵する図書館や書庫にも入ることが可能であることがわかり、今後の文献収集には期待できるはず。 <今後の課題>今後もホメロスを中心に分析考察を行って行く予定だが、主な焦点は、(1)複数の「色」を表す言葉(phoinix を含む)をどう処理していくか。明るい色合い、暗い(冷たい)色合いの比較検討。(2)作者がどういう意図をもって、その「色」を文脈に使用しているか。(3)その文学作品の中での色のシンボルとイメージ、である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究を遂行する為に必要な文献・史料の精査・渉猟に傾注したため、購入に至らなかった。 上述の研究文献・史料渉猟にかかる諸経費、旅費を次年度に使用する。また、収集した史料に基づく研究考察のために必要な関連図書、研究成果発表に要する学会参加費、旅費等にかかる経費を研究費未使用額から充てる。
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Research Products
(3 results)