2014 Fiscal Year Research-status Report
西洋古典に見る色彩表現―「色」の象徴性と社会的役割に関する考察
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25770131
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Research Institution | Kyoto Seika University |
Principal Investigator |
西塔 由貴子 京都精華大学, 人文学部, 講師 (60411948)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | argos / ホメロス / 色とイメージ / 色彩表現 / 西洋古典 / 『イリアス』 / 色彩感覚 / 光 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、ホメロスの色彩表現について、昨年度に続き明るい色合いを探求すべく、色彩修飾語の一つである argos(輝く白、銀などの意)に着手した。 ・夏季は英国リヴァプール大学図書館にて研究に従事。その間、リヴァプール大学にて開催された「Beyond exoticism: opening up remote cultures」に参加し、ポスターセッションで発表。 ・12月に文芸学研究会、そして春季にはロンドン大学(ICS Early Career Seminar spring 2015)とボローニャ大学(RICERCHE A CONFRONTO 2015) にて研究発表を行い、フィードバックや助言を受けることができた。発表の前後は、ICS や大学図書館を利用して文献収集を継続した。 ・既に論文を提出済の書籍(海外文献)が2014年刊行の予定であったが、おそろしく時間がかかっている。この年度内にも編集・修正作業を行い、最終原稿の編集・校正が今も続いている。
海外の大学で発表したことにより、いろんな研究者と出会い、「色」や「輝く光」を考察する上で、自分では思いつかない角度からの指摘を受け、とても良い刺激となった。まだまとめるには至っていないが、考察を進める中で、「色」に着眼点をあてることの重要性とともにその難解さも実感した。その一方で argos に集中したおかげで、「色」と「動き」という新たな視点、今後の研究の方向性に非常に貴重なポイントを掴むことができたように思う。これは本年度の大きい収穫であったと考えたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
特に学期の間は、研究に従事できる時間がほとんどないため、長期休暇の間になんとかまとめようと努めたが、計画通り、しかも満足できる研究成果をあげるにはとにかく時間が不足している。海外に赴き、国内にはない古い学術雑誌や文献を閲覧できたのはとても良かったし、研究発表を行ったことによって価値あるアドバイスを得ることができたが、こういった情報や助言を、残念ながら今年度は活かすことができていない。今後の研究に活用すべく、課題としたい。 Argos の役割について閲読すべき文献はまだ多く、ロンドンの研究機関やボローニャ大学図書館でもう少し時間があれば、と悔やまれる。また、British School of Rome にも赴く計画であったが、3月に研究発表が2件入ったため、日程のセッティングや予算などの理由から、今回は断念した。可能であれば、次年度の海外出張に組み込む。 また、研究発表の機会を求める際に、自分の研究内容に適した海外学会もあったが、時間割の都合上断念せざるを得ないことが多く、残念であった。今後も可能な限り挑戦して行く予定ではあるが、興味・関心を共有でき、より多くの知識を交換して学び合える研究会・学会に参加できた方が、研究遂行には役立ったと考える。
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Strategy for Future Research Activity |
・文献渉猟の継続ー色に関する文献は多岐にわたるため、昨年度に引き続き、分析考察に必要な文献の収集を継続する。海外の研究機関では国内で入手困難な文献を一度に閲覧できるので非常に有意義な時間なのだが、時間が限られている。前回閲覧できなかった文献も多いので、再度渡航を予定。 ・研究発表ー6月に西洋古典学会にて発表予定。欧米の学会にも可能な限り意欲的に挑戦し、結果を待つ。受理という結果になった場合には海外で研究発表。 ・研究成果の総括ーこれまでの成果をまとめ、発表する。本年度、海外の文献・雑誌に応募してみたが、残念ながら受理という結果にはならなかった。論文を加筆または修正し、提出する雑誌を慎重に考慮しながら今後も挑戦していく。
<今後の課題>これまでの成果をまとめることを主要な課題とするが、主な焦点は、(1)作品中における「色」のイメージとその役割は何か(2)「色」と「動き」という相互関係についてどう斬り込んでいくかを考察すること、そして(3)展望として、次に繋がる見通しー色の役割と変化して動く色(または色合い)ーを立てることである。
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Causes of Carryover |
次年度の海外出張の可能性を見込み、今年度の出費を抑えた。海外の研究機関にて、研究を遂行するために必要な文献・論文の精査・渉猟そして研究発表の準備・論文執筆をしたため、また旅費を考慮したため、文献購入を控えた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
上述の研究文献・史料渉猟にかかる諸経費、旅費を次年度に使用する。海外の学会での研究発表が受理された場合には、海外出張費に組み込む。また、分析考察のために必要な関連図書、研究発表に要する学会参加費、旅費などにかかる経費を今年度未使用額から充てる。
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Research Products
(8 results)
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[Presentation] Colour in Homer2014
Author(s)
Yukiko Saito
Organizer
Beyond exoticism: opening up remote cultures - British Academy Early Career Networking Event
Place of Presentation
University of Liverpool, UK (英国リヴァプール大学)
Year and Date
2014-09-08
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