2016 Fiscal Year Annual Research Report
Relationship between criticism and writing of Chinese classical vernacular novels
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25770134
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
田中 智行 徳島大学, 大学院総合科学研究部, 准教授 (50531828)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 中国文学 / 白話小説 / 批評 / 翻訳 |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度にひきつづき、主として『金瓶梅詞話』新訳と訳注作成の作業に取り組んだ。本年度も、約二十回分について初稿を作成し、2016年末までに第五十回までの初稿を完成させることができた。出版社との協議により、この第五十回までを上巻として2018年を目途に出版することとなり、出版に向けて第二稿の作成に取り掛かり、現在、上巻の二~三割程度までについて第二稿を仕上げた段階である。 新訳においては、明清代の批評を注釈に取り込むことや、家具や衣類の注釈には適宜図を引くなどして、一般読者にも興味深く読め、直感的にわかりやすい訳稿となるよう心掛けている。 また、共著として出版予定の書籍(2018年刊行見込)に、『金瓶梅』のひとつの故事を取り上げて論じた。たとえば、1.別々の場面において形象的によく似た人物をよく似た情景に配し、文章表現においてもあきらかに類似した文言を用いて両者を対(つい)の関係とし、構成的に結び付けている箇所や、2.同一人物の発話のなかで、一人称や二人称、親戚名称を変化させることによって、心情の変化をあらわす技法、などについて論じた。2.については、『水滸伝』について金聖歎の有名な指摘があるが、年代的に金聖歎に先行する『金瓶梅』においても、おそらく『水滸伝』から学んだ同様の技法が見いだされることが指摘できる。 このほか、『金瓶梅』の項目を分担執筆した中国文化に関する事典が、2017年4月に刊行される見込みである。
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Research Products
(1 results)