2016 Fiscal Year Annual Research Report
Aspects of 'Qin' study in China in early 20th century
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25770138
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Research Institution | Meikai University |
Principal Investigator |
石井 理 明海大学, 外国語学部, 講師 (20636021)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 琴学 / 近代初期 / 音楽論 / 東西文化 / 初期グローバリズム / 文化相対主義 |
Outline of Annual Research Achievements |
報告者は20世紀初頭における「琴学」についての考察を行うにあたり、当時各地で営まれていた雅集や琴社の活動を全国規模の運動に高めたとして評価される周慶雲を主な調査対象として設定することから始め、その結果として、中国各地で組織された琴社の主要な構成員や活動の様子を把握することに繋がった。そこからさらに、各地の琴社による活動の意義や背景を明らかにするためには、それぞれを相対化する必要があることが分かった。したがって、2016年度は、報告者による過去の研究成果に基づきながら、当時の社会や文化の中に「琴学」をどのように位置づけるのが妥当であるかという点についての結論を下すために、以下のような考察を行った。1)北京大学音楽研究会の古琴導師であった王露にとっての「国楽」観およびそれと「琴学」との関係性について、2)王露「中西音楽帰一説」にみえる観念としての音楽論における西洋哲学と『荘子』の融合について、3)山西省太原で組織された雅楽専修班における礼楽観およびそれと「琴学」との関係性について、4)西洋人による「琴学」や東洋音楽に対する言及について。その結果、伝統に固執したかのように思われがちな「琴学」の主体が、西洋主導のグローバリズムを時代背景とし、「琴学」の持つ前近代的な性質による展開を進める一方で、西洋哲学などを自身の理論の中に取り込みながら、国際的な発信力を高めていたことが明らかになった。研究成果は、「清末民初における琴学の近代化をめぐる一考察」、「清末民初における琴学の展開について」と題した研究論文にまとめた(2017年度発表予定)。
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