2013 Fiscal Year Research-status Report
朝鮮語漢文訓読資料(釈読口訣資料)の飛躍的解読研究
Project/Area Number |
25770145
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
上保 敏 富山大学, 人文学部, 准教授 (80553114)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 朝鮮語学 / 漢文訓読 / 国際情報交換 |
Research Abstract |
本研究は,朝鮮半島においてかつて存在していた朝鮮語漢文訓読資料(釈読口訣資料)の読法を具体的に解明することを,その最大の目的としている。その際,15世紀中葉のハングル創制以後に刊行された諺解資料,中でも15世紀末期以降に刊行された儒教系(非仏教系)の諺解資料に見られる様相を十分に参照しつつ執り行うところに,本研究の独創性がある。 本研究は,以下のような順序に従って,3年計画で実施し始めた。1.ハングル資料をもとにした漢文訓読の読法の分析。2.朝鮮語漢文訓読資料(釈読口訣資料)に書き込まれた口訣のデータ化。3.朝鮮語漢文訓読資料(釈読口訣資料)の読法の解明。 初年度である本年度は,ハングル資料をもとにした漢文訓読の読法の分析をするため,何よりも15世紀以降の諺解資料における漢文原文と諺解文とを対照させリスト化するところから始めた。具体的には,以下の通りである。1.コンピュータのソフトウェアを活用し,諺解資料における漢文原文と諺解文との対応関係を一目瞭然に明示する作業を推し進めた。2.国内外の資料所蔵処に直接赴き,既存の影印・影照等に不明瞭な箇所があり,かつ資料的価値の高い資料の原本調査を実施した。3.韓国の朝鮮語学や朝鮮語史,漢文訓読の著名な研究者と密に連絡を取り,韓国本国における最新の研究成果について情報を交換した。4.朝鮮語学・朝鮮語史に関する図書,とりわけ韓国本国において近年活発に刊行されている研究図書を購入し,最新の研究動向について検討した。 なお,研究経費については,上記1のための関連機器の購入費,2~3のための出張経費,及び4の図書購入費等に当てた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は,3年計画で執り行っているところであり,初年度は研究実績の概要に示した1のハングル資料をもとにした漢文訓読の読法の分析を執り行っている。本年度は,基礎的なデータ蓄積の作業を行っている段階であるため,研究成果を公表するまでには至ってはいないものの,研究はおおむね順調に進んでいると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究は,3年計画で執り行っているところであり,次年度は研究実績の概要に示した2の朝鮮語漢文訓読資料(釈読口訣資料)に書き込まれた口訣のデータ化,最終年度には3の朝鮮語漢文訓読資料(釈読口訣資料)の読法の解明へと進め,研究を締めくくる予定である。 また,次年度以降は,研究の成果を国内外の学界に報告すると同時に,本務校における学部・大学院の朝鮮語学関連の専門科目において積極的に還元する計画である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
初年度である本年度,147,028円の残金が出たが,これは,次年度6月にヨーロッパで開かれる国際学会において,研究発表することとなり,その経費の一部に当てるためである。すなわち,研究がおおむね順調に進んでいる中,研究の意義や途中経過をいち早く学界に発表するために,敢えて残金を出したものである。 上述のように,残金は次年度6月にヨーロッパで開かれる国際学会に出席するための旅費の一部として直ちに執行し,その研究成果を学界・社会に還元する予定である。
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