2013 Fiscal Year Research-status Report
ケセン語のヴォイス・アスペクトに関する理論言語学的研究
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25770156
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Morioka College |
Principal Investigator |
新沼 史和 盛岡大学, 栄養学部, 准教授 (40369814)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | ケセン語 / 統語論 / 形態論 / サル表現 / 反使役 / 脱使役 / 自発表現 / 可能表現 |
Research Abstract |
今年度、私は、25年6月、茨城大学で開催された第146回日本言語学会において、External Cause and the Structure of vP: A Case from Sar(u) Expressions in Iwate Dialectsというタイトルで学会発表を、そして、8月に韓国ソウルで開催されたSeoul International Conference on Generative Grammar 15とオランダのライデンで10月に開催されたlittle v workshopにおいて、The morphosyntax of Intransitivization and the Configurationality of vP in Japanese Dialects というタイトルでのポスター発表、そして、11月に神戸市外国語大学で開催された第147回日本語言語学会において、The syntax of Spontaneous Sentences in Japanese Dialects and its Implications for the Structure of vPという口頭発表を行った。また、韓国ソウルで開催されたSeoul International Conference on Generative Grammar 15の学会proceedingに論文が掲載された(いずれも、岩手県立大学の高橋英也氏との共同研究で、筆頭発表者)。これらの研究はサル表現の統語的分析を行ったものであるが、新たなデータや知見を入れながら、研究が発展してきていることを実感することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は、二度の日本英語学会での口頭発表に加え、二度の海外での学会でのポスター発表を行うことができた。さらに、韓国で開催されたSeoul International Conference on Generative Grammar 15のProceedingsに論文が掲載された。 これらの研究発表ならびに論文は、ケセン語のサル表現に直接的、間接的に関する研究であり、サル表現は、ヴォイス・アスペクトに深く関わっている現象であるため、本科研費の研究課題に沿うものである。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、サル表現に関する論文を査読付きジャーナルに投稿し、公刊を目指す。 加えて、大船渡や陸前高田から来ている学生に協力を仰ぎながら、ケセン語のデータを広く収集し、サル表現に類似したar自動詞についての研究を開始する。Ar自動詞は標準日本語にも見られるものであるが、ヴォイス・アスペクトに深く関与したものであると言われている。 また、「らがす」構文と呼ばれる、放任使役の一種と思われるものについても調査を行い、記述的一般化を模索する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本科研費が11月で0円となったのだが、平成26年2月になり、預金利息が発生し、金額が少量だったため、このお金を使って研究活動をすることができなかった。そのため、この預金利息のお金を平成26年度の使用額に組み込んで研究活動を行っていく。 26年度は、当初の研究計画に沿った研究を行い、その成果を国内外の学会で発表する予定である。そのための旅費に26年度分の研究費の多くを充てる予定である。また、ケセン語のデータを調査するにあたり、日本語や世界の言語の言語現象の知識を増やすために必要な図書の購入にも多くを充てる予定である。
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