2014 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
25770157
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Research Institution | Okayama Prefectural University |
Principal Investigator |
佐野 真一郎 岡山県立大学, デザイン学部, 准教授 (30609615)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | OCP / ライマンの法則 / 連濁 / 日本語話し言葉コーパス / repair strategy / variation / internal factor / external factor |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,言語の様々な側面において「同じであること」を禁止する必異原理をテーマとして,未だに解明されていない発話(広くは産出)に対する影響を実際の言語使用データを使って新たに調べている。そのことにより,必異原理がどのような役割を持つかということに加えて,その違反が実際の言語表現でどのように回避されるかということを明らかにすることを目的として計画を実施している。 先行研究が主に聴取の側面・実験に注目して行われてきたことを踏まえ,本研究ではコーパスを使って大量の発話データを調べることで,必異原理の特徴とその違反の回避方略を詳細に調べている。具体的な調査項目は以下の通りである,①聴き取りの特徴/発話の特徴,②近さ,数,周囲の環境,③禁止・抑制,④阻止機能・修復機能,⑤違反回避方略のパターン。 本年度(平成26年度)は,「連濁」(ほし+そら => ほしぞら)を対象として研究計画を実施した。具体的には,本現象が無声阻害音を特定の環境で有声化することに注目し,これに必異原理が影響を与えていると仮定し,上掲の調査項目に従って,その影響を詳細に調べた。 「日本語話し言葉コーパス」を用い,収録されている自然発話データの中から,研究対象となる複合語を抽出し,無声阻害音が無声音のまま発話されているか,あるいは有声音として発話されているかを調べ,更にその際の条件を数量的に明らかにした。 結果として,必異原理は,①聴き取りと同様,発話にも影響を与えており,聴き取りと発話の対称性が確認された,②抑止力となる要素との距離が近いほど,抑止力となる要素の数が多いほど影響力が強くなることが確認された,③禁止する場合もあれば(強い効果),抑制する場合もある(弱い効果)ことが確認された,④阻止機能,修復機能ともに持っていることが確認された,⑤様々な違反回避・修復を引き起こすが,そのパターンが確認された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初研究計画では,音韻的な環境(言語内的要因)のみに注目して調査を行う計画であったが,それに加えて,社会言語学的な影響(言語外的要因)についても知見を得ることができた。 更に,確認された必異原理の影響の一部を,実験による確認作業を経て,理論的な分析へと発展させることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
来年度(平成27年度)は,これまでの研究成果に基づき,自然発話における必異原理の性質について総合的に分析するよていである。また,統語論における必異原理の影響として,「が/を交替(それが/を飲みたい)に分析を拡大する予定である。調査項目は本年度に倣う。 また,方法論として本年度実施した研究成果で得られた知見を活かし,効率化を図る。
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