2014 Fiscal Year Research-status Report
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25770160
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Research Institution | Rissho University |
Principal Investigator |
ウンサーシュッツ ジャンカーラ 立正大学, 公私立大学の部局等, 講師 (70632595)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 名前 / 広報誌 / 個性 / 命名学 / 社会言語学 / 子ども / 名付け / 家族 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度では1.対象市町村の名前に関するデータ抽出、2.名前の選び方に関する調査、3.読みにくい名前のアンケート調査、4.読みにくい名前のトレーニング予備調査という4つの研究に取り組んだ。 研究1では、昨年の全国広報誌調査で選別した対象広報誌の平成26年度全号から名前に関するデータを抽出し、合計498データが新しく得られた。研究2では、引き続き広報誌から名前の選び方に関するコメントを抽出し量的に分析した。研究3では、引き続き読みにくい名前に関する調査を実施し、さらに約60名の協力者からデータが得られた。研究4では、新しい名前の読み方に関するデータを提示することがそういった名前を読みやすくするかを確認するというトレーニングの予備調査を、47名を対象に実施した。 また、International Union of Anthropological and Ethnological Sciencesの大会で新しい名前が、名付け親の価値観をどう反映しているのかについて発表した(2014年5月・‘New Japanese naming practices: Reflecting changes in ideals for children')。Anthropology of Japan in Japanの大会で、誰が子どもの名付けに参加しているのかについて発表した(2014年11月・‘Recent Japanese naming practices and the role of important others in selecting names')。International Association for Japan Studiesで、新しい名前がメディアにおいてどう語られているのかについて発表した(2014年12月・‘Don't call my name kirakira!': On the evaluation and discourse surrounding recent Japanese names')。また、上記の発表の結果の一部を『立正大学心理学研究所紀要』に投稿した「「キラキラネームといわないで!」:新しい名前に対する評価とその現象に取り巻く言説」でさらに詳細に分析した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
申請時、対象市町村の名前に関するデータの抽出(上記の研究1)・読みにくい名前のアンケート調査(上記の研究3)・読みにくい名前に関する読みにくい名前のトレーニングの予備調査(上記の研究4)という3つが計画され、どれも実施できた。また、現在は、予定通り平成27年度中にトレーニングの本調査が実施できるようにトレーニングの予備調査の結果分析に順調に取り組んでいる。 さらに、申請時に名前の選び方に関する調査(上記の研究2)を実施することを予定していなかったのだが、平成25年度の研究を実施したところ、今後のインタビュー調査の質問事項を選抜するために必要と判断され、追加研究として実施することになった。実際に、名前の選び方に関する調査が、名付けの社会的背景を理解するのに非常に重要な研究となっており、現在はそのデータを基に、インタビュー調査の調査紙作成に取り組んでいる。 こうして、申請時の研究が予定通り実施し、充分なデータが得られたこと、また研究課題の実施最中に発見された新しい研究にも取り組むことができたことを踏まえ、研究課題が全体的に順調に進展していると思われる。
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度は、次の4つの研究に取り組んでいく予定である。 第一に、上記の研究1を引き続き実施し、新しい名前の全国的な傾向を観察し分析する。対象の9つの市町村間の分析に加え、平成25年度と平成26年度に抽出したデータを比較し、傾向の推移をはかる。 第二、上記の研究4・読みにくい名前のトレーニング予備調査の結果分析を基に調査紙・調査法をさらに改善し、本調査を実施して結果分析に取り組む。読み方が不明の漢字に出合うとき、文脈や意味より読みを推測することがあるが(Hatano et al, 1997)、同様に新しい名前の構造的傾向等が理解できれば、難読の名前がより読みやすくなる可能性がある。トレーニング調査の目的は、新しい名前の読み方に関するデータを提示することで、そうして読みやすくなるのかをはかることである。 第三に、上記の研究2を引き続き実施し、名付けの流行を把握するために、名前を選ぶ過程で、どういった要因(家族、読みやすさ、響き等)が重視されているのかをさらに考察する。 第四に、現在研究2の結果を基に作成しているインタビュー調査の調査紙を完成させ、インタビュー調査を実施する。名付けにおける変化の社会的背景を明らかにするために、インタビューの中でとくに難読の名前を可能にしたと小林(2009)が論じている公共空間のへの意識、つまり他者が、子どもに付けた名前をどう受け止めるのかという名付け親の意識の重要性について検討する。 また、これらの研究によって得られた成果を1月に開催されるAmerican Name Societyで発表し、査読付き国際誌に投稿する。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由として、主に次の2点が挙げられる。第一に、平成26年度は、Linguistic Society of Americaで発表することを計画していたのだが、申請時に予測できなかった、新しく与えられた大学業務の日程と重なったため、参加が不可能となり、そのために旅費が浮く結果となった。第二に、平成26年度実施した研究1~4によって得られたデータの分析・結果入力を補助するアルバイトを雇う予定だったが、データ分析に必要な専門知識を持っている適切な人材を探すのに時間がかかった。そのため、人件費が浮く結果となった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
まずは、Linguistics Society of Americaの2016年度大会(米国・ワシントン市)に参加し、旅費として\237000を使用する(航空券約\150000円、5日間の日当[\3000×5]、4泊の宿泊費[\18000×4])。また、適切な人材が見つかったため、残りの繰り越し金額は、平成27年度実施する諸調査によって得られる予定のデータを入力・分析するための人件費として使用する(1人×15時間×12か月×\900)。
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