2014 Fiscal Year Research-status Report
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25770166
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Research Institution | Matsuyama University |
Principal Investigator |
姜 英淑 松山大学, 人文学部, 講師 (80610162)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | N型アクセント / 全羅南道 / 土旨面 / 艮田面 / 石浦方言 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成26年度に実施した研究は,韓国の全羅南道求礼(くれ)方言と慶尚北道の奉化郡石浦(ソクポ)方言のアクセントの記述である。主にアクセント境界地域を中心として実地調査を行った。 求礼郡は,8の行政区域があり,そのうち土旨面(とじみょん),艮田面(かんじょんみょん)の名詞の体系を明らかにすることを目的とした。土旨面では,慶尚南道地域に隣接している村と全羅南道地域に隣接している村の間で体系の違いが見られ,同じ行政区域の中でもアクセントの地域差があることが分かった。艮田面の名詞のアクセントは3つの型が対立しているが,特定の型の例が1つしか存在しないため,2つの型のみが対立を成している可能性がある。さらなる考察が必要である。 慶尚北道の石浦は,江原道地域に隣接しており,同じ奉化郡の中でも異質な方言であると地元では認識されている。石浦に隣接する江原道地域にはN型アクセント体系が多く分布しており,その地理的な影響から多型アクセント体系である奉化邑とは異なるアクセント特徴が現れ,この違いにより方言の差が生じていると考えられる。この違いを解明するための実地調査を行った結果,所属語彙の違いや文末表現の違いがあるものの,アクセント体系による方言の差は見られなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
方言の地域差により,予定外の地域を追加したことで,予定よりやや遅れている。全羅南道求礼では前回の調査の話者の都合により協力が得られず,話者の変更があったため,多少の時間がかかった。追加地域の話者は高齢者であり,読み上げや調査の目的を理解してもらうことが容易ではない点も多少の遅れが生じている原因の一つである。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は主に,江原道方言を中心にアクセント体系やその特徴の解明のため,記述研究を行って行く予定である。まずは,方言形を取り入れた語彙リストを改め,慶尚北道と面している地域を中心として方言間によるアクセント体系の違いを明らかにして行く。また,慶尚南道及び全羅南道におけるN型アクセントの特徴とどのような違いが見られるかその実態を明らかにしたい。
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Causes of Carryover |
実地調査が多少の遅れを取っているため旅費の繰り越しが生じている。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
遅れが生じている地域の実地調査を行うための調査旅費で使用する計画である。
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