2016 Fiscal Year Annual Research Report
Thing-Construals of Events and Coercion in Construction Grammar
Project/Area Number |
25770183
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
金谷 優 筑波大学, 人文社会系, 助教 (50547908)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | モノ的言語 / コト的言語 / 構文文法 / 強制 / 副詞節 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題は、「コトのモノ化」に主眼を置き、一般的にコト的な認知様式よりモノ的な認知様式を好むとされる英語において、本来規範的ではない構文形式が、構文の強制によって実際には認可される現象を認知言語学的、とりわけ構文文法的視点から分析し、そこから生じるより一般的な問題点を検証し、成果を発表することである。研究期間の前半では、名詞句を副詞節で修飾する現象を集中的に考察した。本来、副詞節は別の節(主節)を修飾するが、主節相当部分で表される「コト」をモノ化したのが、この現象である。 研究期間後半に入り、英語の接続詞becauseの新用法(becauseに語が直接後続する用法)が発見されたので、研究期間後半はこの用法の記述及び理論的意味合いの分析を集中的に行った。すなわち、副詞節による名詞句の修飾とは対称的に、副詞節で表されるコトがモノ化されたと捉えられうる現象についての研究を行った。 becauseの新用法に関して、3年目までの段階で現象記述は終了していたので、最終年度は、特に語用論・対人関係機能の観点から分析を行い、発表した。具体的に最終年度の研究成果は、以下のとおりである。まず、becauseに後続する語が伝達の意図を持たない発話者の思考表出であることを論じた論文を公刊し、この分析の延長として、それによりもたらされる構文全体の対人関係的な機能を海外の国際学会で発表した。また、「言語使用の三層モデル」と呼ばれる言語類型論モデルからのアプローチに基づく研究発表を国内で行った。研究期間最後の成果として、構文文法理論の中で提唱されている「構文化」の概念を用いた考察が、平成29年4月に東京で行われる国際学会で国際発表で採択されており発表予定である。
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