2015 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
25770186
|
Research Institution | Toho University |
Principal Investigator |
大澤 舞 東邦大学, 薬学部, 講師 (70610830)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
Keywords | 意味役割 / 語用論 / 受身文 / by句 |
Outline of Annual Research Achievements |
語用論的な観点から、意味役割の区分と文法の関わりの一端を明らかにするために、研究期間内には、以下を行うことを目的としていた。(1)英語の受身文に生起するby句が要求する項は常に動作主を表すという、当たり前のように考えられてきた従来の「前提」の妥当性を意味・語用論的に検証し、cause使役受身文をはじめとする現象の分析から、「動作主」と「原因」の意味的区分が文法的に重要であることを主張すること。(2)英語のby句と、日本語の受身文において動作主を表すといわれる「ニ/ニヨッテ」句との比較を行い、英語のby句が要求する項の意味役割の検証によって得られた仮説の妥当性を示す。(3)by句が要求する項の意味役割に関する仮説を基に、従来の意味役割理論の問題点を抽出し、その問題点を解決するための語用論的視座を取り入れた折衷案的アプローチを提案する。 初年度には、英語の受身文と生起するby句や理由・原因を表すbecause ofが生起するデータの収集と精査、そして記述研究を中心に行った。次年度は、前年度に収集したデータの分析・考察を行い、その結果を研究会で発表した。また、日本語のニ受身文・ニヨッテ受身文の先行研究の調査を開始し、次年度に行う日英語比較の準備を進めた。最終年度は、日本語のニ受身文・ニヨッテ受身文の性質の理解と記述を行いながら、すでに提案されている意味役割理論の調査と理解に時間をかけた。具体的には、意味役割は離散的なものであり、ある意味役割は文法(構造)の同じ位置に常に生じる、つまり、受身化された能動文の主語がby句として生起するとき、その項の意味役割は常に動作主であるという考え方と、意味役割の区分は離散的ではなく、典型的な動作主と、典型的な被動作主を両極端に配置し、意味役割の連続性を認めるという立場のどちらが、本研究で提示するデータをより適切に説明するものなのか調査した.
|
Research Products
(5 results)