2013 Fiscal Year Research-status Report
日本語論述能力の連続測定モデルに基づく診断的教育測定エンジンの基礎的研究
Project/Area Number |
25770190
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
大澤 公一 山口大学, 大学教育機構, 准教授 (20555320)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 連続測定モデル / 認知診断モデル / 日本語運用能力 / 国際情報交換(韓国) |
Research Abstract |
本研究の目的は,日本語論述能力の測定について次世代型の教育測定モデルである「連続測定」の概念に基づいた診断的教育測定エンジンを開発するための基礎研究を行うことである。まず,大澤(2007~2009; 2010~2012)の研究プロジェクト成果である大規模データを基礎として,(1)学習者が「日本語を書く」単元において習得するべき事項を系統立てた「完全習得地図」を構成する。(2)この地図に基づいて学習者の学習の軌跡と能力プロファイルの発達的変化を連続的に測定する,カリキュラム一体型の教育測定モデルを提案する。その際,(3)診断的な教育評価を行うことで,単純な能力測定に止まらず,測定がそのまま未習得部分の効率的な学習に繋がるような,学習支援にまで踏み込んだ教育測定モデルを構築することを目標としている。 本年度においては,申請者の先行研究で収集された,高等教育において必要となる適性・資質・スキルや言語運用能力4技能(読む・書く・聞く・話す)についての自己評定尺度(Can-do Statements尺度,CDS)を用いた大規模調査データに対して,潜在変数モデルを利用した探索的分析を試みた。その結果,言語論述能力を構成・説明する因子を中心にモデルを仮構成し,完全習得地図のベースとなる学習・評価項目を探索的に抽出することを試みた。その一方で,日本語教育や言語教育に関する文献研究を推進し,国内外の研究協力者の助言を得ながら「書く能力」に関する学習・評価項目の精緻化を進めた。教育測定エンジンに関する研究については,認知診断モデルおよび縦断データ解析モデルに関する文献や先行研究を入手し,理論的研究を推進した。また,テスト得点と具体的な達成基準とを質的に紐付けするための合否分割点法(standard-setting method)に関する諸文献を入手し,理論的研究を推進した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画に対して特段の遅れは発生していない。
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Strategy for Future Research Activity |
完全習得地図の項目構成を教育測定モデルの研究に反映する。その後は適宜文献研究を 継続して行い,研究協力者の助言等も得ながら最終的な項目構成を完了させる。また,日 本語論述能力の潜在能力次元の数および相関関係の構造を認知診断モデルにおけるQ行列の形で数量的に表現する。その後,モデルに投入する母数を確定させ,数値計算アルゴリズムや等化法の検証を行う。先行研究で得られた大規模データに対して推定実験を行う。完全習得地図が確定した後に,最終的なQ行列を確定させる。また,採用候補となる合否分割点法を複数選定し,先行研究で得られた大規模データに適用する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究初年度にワークステーションの購入を見送り,物品費の使用がなかったため。 今後リリースされる計算機の性能を吟味しつつ,適切な時期にワークステーションを購入する予定である。
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