2016 Fiscal Year Annual Research Report
A development of diagnostic psychometrics engine based on continuous measurement model of Japanese language writing abilities
Project/Area Number |
25770190
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
大澤 公一 京都大学, 高大接続・入試センター, 特定准教授 (20555320)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 教育心理学 / 教育測定学 / 日本語教育学 |
Outline of Annual Research Achievements |
日本語の論述能力に関する学習内容および測定・評価項目のマッピングに相当する完全習得地図の構成に関しては,本研究期間中に議論が進んだ日本の大学入試改革との関連性・整合性を担保するために,より教育的な構成概念を包含するものとなるよう構成概念に変更を加えた。研究計画立案当初に想定していた比較的単純な日本語学,日本語教育学的な「ことば」に焦点を置く項目観点に留まらず,一般的・広範的な意味での教育測定学と高大接続との関連性を考慮したうえで,言語としての日本語が持つ諸相(文字・語彙,文法,表現形式など)だけではなく,大学などの高等教育機関に進学して自身の専門分野を効率的に学習していくために必要とされる資質について,中等教育課程における学習教科・科目間に共通して獲得されることが期待される能力や技能を整理して分析的評価項目としてリスト化を試みた。日本語論述能力を客観的に尺度化するための教育測定モデルに関しては,潜在変数モデルを基礎とし,多次元項目反応モデルの適用を主眼に置いて検討を引き続き行ってきた。将来的には個別の問題項目の持つ能力識別情報も母数化する方向で研究を発展させたいと考えているが,本研究においては識別情報の差異をモデル母数として導入することは困難であった。多次元項目反応モデルにおける識別力は解釈が容易ではないため,適切な評価項目数の設定基準や反応データが持つ情報水準の減少バランスなど,今後の研究における指針をいくつか得ることができた。診断的能力評価に関しては,standard-setting methodの比較研究を十分に行うことができず,数量的な能力値の質的な意味付けの付与に関する更なる基礎的研究の必要性が明らかとなった。受験者サンプルの妥当性に関しては,今後日本の高等教育政策との関連性が強くなっていくと考えられるASEAN地域の協力を仰いでいく必要があると思われる。
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