2016 Fiscal Year Annual Research Report
Toward an ecological understanding of the development and changes of L2 WTC in the Japanese context
Project/Area Number |
25770199
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Research Institution | Hokkaido University of Education |
Principal Investigator |
菅原 健太 北海道教育大学, 教育学部, 講師 (20635833)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | WTC / モチベーション / 自己 / 生態学的発達論 / 第二言語習得論 / 英語教育 |
Outline of Annual Research Achievements |
最終年度は、初年度より実施してきた日本人青年期層の「英語で自発的にコミュニケーションを図る意志」(L2 WTC)の理解に向けた研究課題の最終成果報告と今後の研究課題の発掘に向けて取り組んだ。そのために、本研究で用いた生態学的発達論(Bronfenbrenner, 1979)と複雑系ダイナミックシステムのアプローチを組み合わせた生態学的システムの視点から、L2 WTC及び自己が関わるモチベーションについての先行研究(Sugawara, 2015, 他)をレビューし、研究の問いを明確にした。その問いに応じるために、平成27年度までに実施した質的データのグラウンデッドセオリー分析による結果を見直し、不足情報を補うために理論的サンプリングを実施して、すべてのデータを用いた分析からカテゴリーの精緻化を進めた。その結果、対象者を英語で自発的にコミュニケーションをしたい・したくない心理に向かわせる文脈や、これらの心理現象と英語の使用に関わる可能自己の関連性、及び可能自己の発達を導く環境条件が浮上した。以上の結果・考察をまとめた論文が、全国英語教育学会紀要(ARELE)第28号に掲載された(Sugawara, 2017a)。その論文の一般的考察では、英語の使用場面や学習機会を回避する学習者に向けて可能自己を育成するための方法を教育的示唆として提示した。 今後の研究として、対象者層の英語の学習・使用への接近・回避動機と、可能自己の関連性、及びその変化についてより理解を深める必要性が浮上した。そのため、研究代表者は、L2 WTCと可能自己間の相互作用を量的データの分析結果から確認した(Sugawara, 2017b)。今後の研究課題として、本研究で扱ったモチベーションの変化を複雑系ダイナミックシステムの視点から、複合的データの解釈を通じてより詳細な説明に向けた取組みが求められる。
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