2015 Fiscal Year Annual Research Report
第二言語読解における大局的橋渡し推論の生成プロセスの検証
Project/Area Number |
25770209
|
Research Institution | Tohoku Fukushi University |
Principal Investigator |
清水 遥 東北福祉大学, 総合基礎教育課程, 講師 (20646905)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
Keywords | 英語教育 / 第二言語習得 / リーディング / 推論 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、首尾一貫した英文理解の構築を助ける橋渡し推論 (bridging inference) の生成プロセスを検証することである。橋渡し推論は、文章内の2つの情報を結びつけ、文章を理解するために必要な内容の一貫性を保つ役割を担う。本研究では、より包括的な英文理解が求められている現状を踏まえ、橋渡し推論を局所的橋渡し推論と大局的橋渡し推論に分類して検証を行った。その上で、これまで第二言語 (L2) 読解研究ではほとんど検証されてこなかった大局的橋渡し推論に焦点を当て、読解中の生成パターンを英語母語話者と日本人英語学習者を対象に比較、検証した。 実験1では先行研究で報告されている英語母語話者の橋渡し推論の生成パターンと日本人英語学習者のそれを比較した。発話思考法を用いて日本人英語学習者の発話プロトコルを収集し、データは11カテゴリーに分類された。検証の結果、日本人英語学習者は橋渡し推論を生成する際に母語話者と一部類似したプロセスを使用することが明らかとなった。しかし、橋渡し推論と共起しやすいとされる読解ストラテジーのいくつかを下位レベル処理のために使用するなどの特徴も見られ、L2読解では個人差の影響が大きいことが示された。 実験2では、英語母語話者および日本人英語学習者に同じマテリアルを使用し、局所的・大局的橋渡し推論のオンラインでの生成を検証した。検証の結果、日本人英語学習者も母語話者と同様に局所的橋渡し推論だけでなく、大局的橋渡し推論をオンラインで生成することが示された。これはL2読解における大局的推論を対象とした数少ない先行研究とは一部異なる結果であった。今後は読解材料の特性を操作し、どのような条件下で大局的橋渡し推論が生成されやすいのかという活性化の強さを含めた検証を行っていく必要がある。
|