2014 Fiscal Year Research-status Report
教科書の縮約版を利用した生徒中心型授業モデル開発のための基礎研究
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25770211
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Research Institution | Tokyo Gakugei University |
Principal Investigator |
臼倉 美里 東京学芸大学, 教育学部, 講師 (00567084)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 高等学校検定教科書分析 / 中学校既習文法 / 縮約版作成上の留意点 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成26年度は,以下の2点に注力して研究を進めた。 ①基礎データの更新 平成25年度に,コミュニケーション英語Ⅰの教科書本文の分析を行ったことに加え,今年度はコミュニケーション英語Ⅱの教科書本文の分析を行った。分析対象としたのは『CROWN』『MY WAY』『VISTA』(以上,三省堂)『PROMINENCE』『POWER ON』『ALL ABOARD』(以上,東京書籍)『ELEMENT』『LANDMARK』(以上,啓林館)『GENIUS』『COMPASS』(以上,大修館)の10冊で,各教科書のレッスン本文の中で,中学校で学ぶべき構文(中学校学習指導要領参照)の割合と,高等学校で新たに学ぶ構文(高等学校学習指導要領参照)の割合を算出した。分析結果から,およそ8割の英文が中学校までの既習事項で書かれており,高等学校で新たに導入された文法項目を含んだ英文の割合は少なかった。このことは,平成25年度にコミュニケーション英語Ⅰの教科書を分析したときに得られた結果と同様のものであったが,この2年間に行った分析結果から,新たな観点での分析の必要性が生じた。具体的には,文構造の難しさの観点としての「一文あたりの長さ」である。これは平成25年度の研究実績の報告に置いても言及した点ではあるが,今年度の追加分析を受け,さらにこの必要性が感じられた。 ②縮約版マニュアル作成のための調査 実際に縮約版を作成するにあたり,マニュアル作成が可能であるかを調べるために,実際に高等学校のコミュニケーション英語Ⅰの教科書を使って,複数のレッスンについて縮約版を作成し,手順を明文化できるかを探った。その結果,どの英文を間引くかの「基準」の明文化においては,一つの基準だけでは不十分であることがうかがえた。「基準の明文化」を追究していくことが今後の課題として挙げられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度に引き続き,今年度も縮約版作成のための基礎データ構築が主な研究課題であった。当初予定していた教科書本文分析は概ね終了した。分析対象としたコミュニケーション英語Ⅱの検定教科書10冊について,中学校での既習文法事項と高等学校で新たに導入される新規文法事項の割合を分析した結果,教科書本文の多くが,中学校までの既習文法事項により書かれていることがわかった。しかし,一文の長さや,語彙の難しさ(不慣れさ)から,本文を読んだ印象としては中学校の検定教科書よりもはるかに難しく感じられることから,生徒にとっては中学校からのギャップが強く感じられると推察される。この点について,教科書本文をいきなり読むのではなく,縮約版を利用することで橋渡しが可能になるのではないかと考えられ,今後の課題が明らかになった。 また,縮約版を作る際のマニュアル作成については,基準の明文化を試みるために,実際に高等学校のコミュニケーション英語Ⅰの教科書を使って縮約版を作成してみたところ,複数の基準を用いる必要性がうかがえ,この点をシンプルに明文化するための工夫が,今後の課題となった。
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Strategy for Future Research Activity |
まず取り組むべき課題としては,縮約版を作成する際の「基準」の明文化である。具体的には,①できるだけ汎用性の高い基準を設定すること,②高校の先生方にとってわかりやすい表現を使うこと,が重要になってくる。今後は,この点を視野に入れ,さらにシミュレーションを続ける。その上で,実際にマニュアルの草案を作成し,現場の先生方に試用していただき,改善点についてコメントをいただきながら,マニュアルの試作版の完成を目指す。
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Research Products
(3 results)