2016 Fiscal Year Research-status Report
戦後日本における医療運動の展開と地域社会形成に関する実証的研究
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25770238
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Research Institution | Saga University |
Principal Investigator |
鬼嶋 淳 佐賀大学, 教育学部, 准教授 (60409612)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 日本近現代史 / 地域史 / 地域医療 / 地域福祉 / 高度成長期 |
Outline of Annual Research Achievements |
1.基本史料と位置づけている「大井医院・大島慶一郎関係資料」の調査・整理作業をおおむね終えた。しかし、多様な種類の史料が混在していること、分量が多いことなどから、目録完成までに至っていない。 2.地域住民、大井協同診療所関係者を対象にして、大井医院開設の歴史的経緯、敗戦直後の大井村に関する報告を行い、「大井医院・大島慶一郎関係資料」の有する意義、重要性を説明した(大井協同診療所開設70周年のつどい、2016年8月27日、於埼玉県ふじみ野市)。 3.高度経済成長期の都市近郊農村地域における医療運動と地域形成に関する事例として、埼玉県入間郡大井村(現ふじみ野市)に注目した。まず、村議会関係史料の網羅的調査をおこない、その他行政史料の調査についても追加調査を実施した。さらに、大井村の隣村である上福岡町(現ふじみ野市)に建設された霞ヶ丘団地、上野台団地に関する史料調査をおこない、主に団地自治会に関する史料を閲覧・撮影した。 4.「大井医院・大島慶一郎関係資料」と上記3の史料を利用して、1960年代~70年代前半の都市近郊農村地域である埼玉県入間郡大井村の地域医療・地域福祉の展開について検討した。とくに、1950年代の大井医院や入間医療生活協同組合の運動経験を前提にして、その運動経験者が、高度成長期には村会議員、県会議員に当選し、地方行政の場で地域の医療・福祉について積極的な役割を担ったことを明らかにした。具体的には、国民健康保険の8割給付や老人医療費無料化へむけた動向、地域における公害対策、保育所開設をめぐる動きについて検証した。革新自治体とはならなかった農村社会の地域のあり方をめぐる変化を検証した(「地域医療・福祉をめぐる模索―1960・70年代の都市近郊農村」2016年10月15日、早稲田大学史学会)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2016年10月に学会で報告をおこない、追加調査をふまえて研究論文を作成する予定であったが、その後、諸般の事情により追加調査をおこなうことができず、研究論文を作成できなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
2017年度前半期に追加調査をおこない、10月に研究論文として投稿予定である。
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Causes of Carryover |
2016年10月に学会で本研究内容について報告し、そこでの指摘をふまえてさらに精緻な研究論文を投稿するため、追加史料調査、分析をおこなっていた。 しかし12月、諸般の事情から他地域、研究フィールドへ出張しての調査続行が厳しくなった。 そのため、当初計画していた学会報告をふまえた論文による研究成果発表の遂行が難しくなり、研究期間を延長した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
2017年度前半に追加調査を実施して、10月に研究成果を投稿予定である。
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