2013 Fiscal Year Research-status Report
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25770241
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Chiba Keizai University |
Principal Investigator |
川戸 貴史 千葉経済大学, 経済学部, 講師 (20456289)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 中世史 / 中近世移行期 / 貨幣史 / 経済史 / 流通史 / 太閤検地 / 日本史 |
Research Abstract |
本年度は16~17世紀における貨幣の使用実態を明らかにするため、関連史料の網羅的な蒐集に取り組んだ。かつ一部地域を対象としてその分析を行い、研究成果として発表した。 分析した対象は16世紀末期の陸奥国会津を中心とした、豊臣秀吉による奥羽仕置前後における貨幣流通事情の具体像の分析を行った。それによると、奥羽仕置後の会津では「永楽銭」を基準とした知行体系が採用されていたが、その背景には検地を早急に完了させたい政権の意向が強く働いており、必ずしも当地における貨幣流通事情に配慮したものではなかったことが明らかとなった。また、ここで採用された「永楽銭」も永楽通宝そのものではなく、知行の基準額として採用された“空位化”した基準であったことを指摘した。 このほか公家を中心とした日記類の分析を進め、『言経卿記』『義演准后日記』『時慶記』『多聞院日記』などの16世紀末期にかかる史料から貨幣流通・貨幣使用に関する記事の抽出作業を行った。以上の史料は京都・奈良を中心とした地域に偏っているため、東国に関する記事の蒐集も進めるべき、『大和田重清日記』『家忠日記』などの史料のほか、17世紀初頭の鉱山開発(主に銀)と貨幣流通との関係も精査するため、『梅津政景日記』の調査も進めている。 以上の史料は既に斯界において周知されているものであり、新たな史料の発掘も進めている。これについては、主に東京大学史料編纂所や国立公文書館において調査を行ったが、各地の図書館・文書館等への調査を進める準備も進めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り、研究遂行に必要な関連史料の発掘調査を順調に進めることができた。また、それに留まらず一部地域を対象として分析を行い、発表することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
中近世移行期の日本列島全体における貨幣流通構造を見通すことを目指しているため、各地に所在する関連史料の蒐集および分析をさらに進めていく必要がある。 また日本国内のみならず、東アジア・東南アジア地域まで包摂した形で当該期の貨幣流通構造を明らかにすることを目標としているため、当該地域を研究する国内外の研究者と意見交換・交流を進めるべく準備をしている。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
主要な理由は下記の二点である。 (1)物品費として計上した金額を充てる予定としていたもののうち、その大半を占める研究関連書籍の購入費用が当初の予定よりも低くなったため。(2)物品費として計上した撮影機材購入のうち、実際に購入したカメラが当初の予定より低額に抑えられたため。また予定していた三脚等の機材購入を翌年度へ繰り延べしたため。 生じた理由(1)について、今年度は研究関連書籍を当初の予定通り購入し、研究に資す領努める予定である。 生じた理由(2)について、実際に使用することが必要となるため、早急に撮影機材を購入する予定である。
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Research Products
(4 results)