2013 Fiscal Year Research-status Report
太平天国とキリスト教の関わりからみる中国初期プロテスタント史の研究
Project/Area Number |
25770253
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
倉田 明子 東京大学, 総合文化研究科, 学術研究員 (20636211)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 中国近代 / キリスト教 / 宣教師 |
Research Abstract |
今年度は「実施計画」に基づき、まず調査に必要な機器(デジタルカメラ、撮影台、シャッタースイッチ等)の購入を行った。 また、これまで行ってきた開港場知識人に関わる研究を中国語の論文にまとめ、昨年6月に香港バプテスト大学で開かれた第八屆近代中国基督教史研討会「近代中国基督教与現代性――比較視覚」に参加し、「通商口岸知識分子与基督教 ――19世紀西方知識与現代性」を発表し、中国、香港、アメリカのキリスト教史研究者と意見交換した。 そして、やはり「実施計画」どおり、研究協力者として参加している科研の費用を用い、アメリカ・テネシー州のSouthern Baptist Historical Library and Archivesを訪問し、ロバーツが残した報告書などの史料を閲覧、デジタルカメラで撮影したほか、同ミッションから中国に派遣されたイェーツ、ハートウェル、クロフォードら他の宣教師の史料についても閲覧と撮影をおこなった。これらの史料は従来の研究ではあまり顧みられてきておらず、19世紀の中国ミッション史を知る上で重要なものとなる可能性が高い。特にロバーツの報告書の中には、中国人助手の活動を克明に記録したものが残されていることが今回明らかとなっており、今後、広州周辺のキリスト教布教の状況や現地社会の状況について解明が進むことが期待される。 なお、これらの史料のうち、上海に赴任したイェーツについての史料を部分的に用い、昨年10月に中国・杭州で開かれた国際シンポジウム「中西交匯中的近代中国都市与郷村国際学術研討会」において「中西交匯中的上海――通商口岸城市的成立与伝教士」と題して発表し、中国、台湾の研究者と意見交換を行った。 この10月の会議出席のため、香港での予備調査は3月に行い、香港大学および香港建道神学院で関連資料の調査をし、また最新のキリスト教史・太平天国史の研究書を購入した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
アメリカでの調査は予想以上の効率で進めることができたため、今回の調査で必要な資料は全て閲覧、収集することができた。そのため、来年度予定していた同地での調査は必要がなくなるので、年度末に計画していたヨーロッパでの調査は次年度に繰り越すこととした。従って今年度の計画としては全てを実施することにはならなかったが、全体の研究計画としては、予定通りすすめることができる見通しである。そのため、評価としては「おおむね順調」とした。 また、成果の発表に関しても、当該年度中に2回の研究発表の機会を得、中国キリスト教史の研究者と幅広く交流し、意見交換をすることができた。また特に香港での調査中にキリスト教史、太平天国史にかかわる最新の研究書を入手することもできた。順調に研究を進めることができていると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、ギュツラフ関連の資料の調査に重点を移し、ヨーロッパでの資料収集を進めていきたいと考えている。26年度、27年度で「実施計画」通り、イギリスとオランダでの史料調査を実施する予定である。 なお、当初の計画では、26年度以降は研究協力者と二人で史料調査、撮影を行う予定であったが、予定した協力者が諸事情により調査に同行できないことになった。対応策としては、資料撮影の効率化(昨年のアメリカ調査の応用)、調査期間の延長により、研究者本人のみで調査を進めてゆくことを検討している。
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Research Products
(4 results)