2013 Fiscal Year Research-status Report
中央アジア出土文書による唐~元代中国の文書行政システムの研究
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25770256
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
赤木 崇敏 大阪大学, 文学研究科, 助教 (00566656)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 東洋史 / 古文書学 / 文書行政 / 唐代史 / 宋代史 / 中央アジア史 |
Research Abstract |
本研究では、中央アジア出土文書を所蔵する海外研究機関に赴いて実見調査を行い、その成果を踏まえて、国内にて調査結果の考察、データベースの作成・分析を行ったのち、唐~元代中国における文書伝達のネットワークの再構築と、それを運用した行政機構及び運用原理を解明する。本年度は、以下の研究を進めた。 (1)新疆ウイグル自治区・吐魯番博物館において、同館所蔵の唐代公文書を実見調査し、テキストの校訂作業や古文書学的データの収集を行った。特に、唐に帰附したカルルクの処分に関して7世紀中葉に直轄州(西州)と覊縻州(金満州都督府)との間で授受された漢語及びソグド語の文書群について分析を進めた。 (2)敦煌研究院において、同院所蔵の唐~宋代公文書の一部を実見し、テキストの校訂・分析作業を進めた。 (3)大阪大学で開催された国際ワークショップ「ユーラシア東部地域における公文書の史的展開──胡漢文書の相互関係を視野にいれて──」において唐代文書行政に関する報告を行った。既刊資料集や調査成果に基づいて、中央アジア出土唐代公文書の数量や種類・内容を整理するとともに、唐代前半期から後半期にかけて大きく変化する書式体系とその歴史的背景に関する分析を発表した。 (4)このほか、唐代公文書書式の体系・運用方法・時代変遷・歴史的背景や、さらには唐宋代公文書をとりまく社会的背景として公文書の出土した敦煌(沙州)と周辺地域(中原・コータン・甘州ウイグル)との情報伝達・国際関係・社会状況について、下記に記載の学術論文を発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初の計画案に示した本年度の調査予定地は新疆ウイグル自治区・吐魯番博物館だけであったが、3年目に予定していた敦煌研究院なども訪問して予備調査を行うことができただけでなく、唐代直轄州の文書行政について十分な質量の史料を収集しえた。また、本年度の目的であった唐代文書行政の分析については、研究報告および学術論文において、中央行政と末端行政を結ぶ唐帝国全体の情報伝達ネットワークのモデル図を提示したが、このモデル図の作成は2年目の目標としていたところである。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の研究計画に従い、残る3年間で敦煌研究院(敦煌)、内蒙古博物院(フフホト)およびロシア科学アカデミー東方学研究所(サンクトペテルブルク)での史料調査を行い、唐~元代の文書行政の変遷を明らかにする。またその成果は順次学術論文として公表するが、次年度には25・26年度の海外調査の成果をもとに、唐代文書行政の運用体制やその原理、とりわけ従来の研究対象からは外されがちであった覊縻州地域について明らかにする予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当初購入を予定していた唐・宋・元代史、中央アジア史関係書籍のうち、一部は刊行が案内されていたものの今年度中に日本へ輸入されなかった。年度末においても日本での販売時期が3月末~4月と不確定であったため、やむをえず購入を見送った。 上述の如く、昨年中に中国で宋元代公文書に関する史料集がいくつか刊行されたが、日本での輸入・販売時期が未定であったため今年度の購入の見送ったものがある。その購入費に充てる予定である。
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Research Products
(5 results)