2015 Fiscal Year Research-status Report
中央アジア出土文書による唐~元代中国の文書行政システムの研究
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25770256
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Research Institution | Shikoku Gakuin University |
Principal Investigator |
赤木 崇敏 四国学院大学, 文学部, 准教授 (00566656)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 東洋史 / 古文書学 / 文書行政 / 唐代史 / 宋代史 / 中央アジア / 敦煌 / トゥルファン |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、中央アジア出土文書を所蔵する海外研究機関に赴いて実見調査を行い、その成果に基づいて唐~元代中国における文書行政の実態(伝達を媒介する公文書、ネットワークの再構築、それを運用する行政機構および運用原理など)を解明することも目的としている。本年度は、以下の研究を進めた。 (1)中国国家図書館において、唐宋代の公文書を実見し、テキストの校訂・分析を行った。 (2)カラホト出土の宋~元代公文書の内容や社会的背景をより深く分析するため、公文書の処理や伝達の舞台となった中国・陝西省の遺址や現地に残る文物を調査した。 (3)唐代文書行政に関する研究成果を中国語論文として公表した。 (4)このほか、文書が発見された敦煌オアシスの社会状況について、下記の学術論文を発表した。また、宋~元代の文書行政については、論文として公表すべくその準備を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画案に示した海外研究機関での調査は滞りなく進んでおり、分析に十分な質量の史料を収集することができた。また、研究成果の一部は既に国内の学会や学術雑誌に発表するとともに、中国語論文としても公表しており、本研究は全体として概ね順調に進んでいるといえる。ただし、研究代表者は27年度に所属機関の変更があり、研究環境も著しく変わったため、残念ながら3年目に予定していた宋~元代の文書行政に関する研究成果を論文として公表することはできなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの研究の体系化を図る。すなわち、唐~元代の文書行政で使用された公文書について、書式ごとに形態、機能、伝達経路、案件の処理方式を全て明らかにするとともに、各時代ごとの情報伝達ネットワークのモデルを図式化する。また、ここから判明する文書行政の在り方や、それを運用した原理や行政機構が、時代を経るにつれどのように変化したか、社会的・制度的背景についても考察する。また、この最終成果を学術論文として公表するべく準備に取りかかる。
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