2014 Fiscal Year Research-status Report
清代東トルキスタンにおけるトルファン郡王家の位相と役割
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25770259
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Research Institution | Tohoku Gakuin University |
Principal Investigator |
小沼 孝博 東北学院大学, 文学部, 准教授 (30509378)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | トルファン / 新疆 / ヤルカンド / 中央アジア / エミン=ホージャ / コーカンド=ハン国 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究期間の2年目にあたる今年度は、昨年度に引き続き研究実施の基礎となる史料の収集と読解を進めた。まず、本助成金で昨年度購入した『清代新疆満文档案彙編』より、東トルキスタン征服直後、清朝が統治体制を確立していく中でトルファン郡王家始祖のエミン=ホージャが果たした役割に関する満洲語史料を抽出し、郡王家の権威確立の過程について検討した。その成果の一環として、今年度刊行した清と中央アジアの相対的な関係とその推移を検討した単著『清と中央アジア草原』において、トルファン盆地におけるエミン=ホージャの支配確立の過程を明らかにした。また、1759-60年における清とコーカンド=ハン国の関係樹立の経緯に関して、共著の英語論文の形で公にした。 昨年度(1年目)3月にトルコ共和国アンカラ民族学博物館で調査したエミン=ホージャの瓜州移住に関するテュルク語文書については、関連する清朝文書史料の収集につとめるとともに、アンカラでの調査の概要をまとめた報告を執筆した。なお、課題申請時の研究計画にしたがえば、本年度は夏期に中国新疆ウイグル自治区へ出張し、史料収集とフィールド調査を実施する予定であったが、現地の政情不安からこれを断念し、3年目に予定していたウズベキスタンのタシケントにおける史料調査の実施に計画を変更し、カシュガルの水分配に関する民間所蔵のテュルク語契約文書を調査した。断念した新疆における調査は、3年目にあらためて実施する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ほぼ当初の研究計画どおりに、調査・研究を遂行できてている。今年度は新疆における調査を見合わせざるをえなかったが、ウズベキスタンにおける調査を前倒しで実施し、かつ成果を得ることができた。現在でも、本研究課題に関わる論文を複数執筆中であり、順調な進展と成果の達成をみこんでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
大きな変更点はなく、当初の計画にしたがって実施する。断念した新疆における調査については、3年目に計画を変更して実施することによって、代替したいと考えている。
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