2015 Fiscal Year Annual Research Report
清代東トルキスタンにおけるトルファン郡王家の位相と役割
Project/Area Number |
25770259
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Research Institution | Tohoku Gakuin University |
Principal Investigator |
小沼 孝博 東北学院大学, 文学部, 准教授 (30509378)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | トルファン / 新疆 / 東トルキスタン / オアシス / 清 / 郡王 / 中央アジア / ウイグル |
Outline of Annual Research Achievements |
研究期間の最終年度にあたる今年度は、これまで実施してきた調査・研究を総合化し、研究報告と論文執筆に努めた。本研究課題は、トルファン郡王家の存在と役割に焦点をあて、18-19世紀の東トルキスタンにおける清朝統治の実態、およびそのもとでのオアシス社会・イスラーム社会の諸相とその変容の解明をめざすことを目的とするものであり、本課題の申請段階においては、(1)郡王家の権限確立の過程、(2) 郡王家のカシュガル統治、(3)イスラームとの関係について検討することを具体的な課題として掲げていた。このうち(1)については、夏季に日本アルタイ学会(野尻湖クリルタイ)において研究報告を実施し、雑誌論文として公表することができた。(2)についても、清朝征服による隊商交易の変容とそれにオアシスの権力者がいかに関わったのかという点から分析を試み、12月に東京で開催された国際会議で報告をおこなった後、雑誌論文を執筆している。ただし(3)については、展望を含めた研究報告をおこなうにとどまり、具体的な成果の発信については将来的な課題として残さざるを得なくなってしまった。とくに今年度おいては、8月に参加を予定していた中国新疆ウイグル自治区における国際会議が現地の政情不安から中止となり、付随して計画していた現地調査が実施できなかったことが挙げられる。最も大きな成果としては、研究期間の1年目にトルコ共和国アンカラ民族学博物館で調査した初代トルファン郡王エミン=ホージャの瓜州移住に関するテュルク語史料を、シドニー大学のDavid Brophy氏と共著の英文資料集というかたちで刊行できたことである。本資料集の刊行は、交付申請書において目標にかかげていたものであった。
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Research Products
(8 results)