2014 Fiscal Year Research-status Report
王政復古期イギリスにおける臣民と市民―文化史的考察―
Project/Area Number |
25770268
|
Research Institution | Toyo University |
Principal Investigator |
後藤 はる美 東洋大学, 文学部, 講師 (00540379)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
|
Keywords | 西洋史 / 民衆 / イギリス / 近世 / 出版文化 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、事例研究のための資史料の調査・収集を第一の課題とした。調査をつうじて、王政復古期の特徴をよく表す、排除危機期の政治的な法廷闘争に加え、同事件でもたびたび引き合いに出される、反教皇主義と連動する魔術・悪魔に関わる言説の問題が新たな焦点として浮かび上がってきた。今後は同時代刊行物および裁判史料の検討を通じて、これらの事件に人びとがどうかかわっていたかを考察し、17世紀の社会におけるこうした事件/言説のもつ意味を確認することが課題となる。 中間的な成果は、白山史学会大会における公開講演「近世イングランドにおける魔女と悪魔憑き――神と法と医のはざまで」(2014年11月29日、於東洋大学)として口頭報告したほか、革命期から王政復古期までを連続した構造と変化の契機に着目して検討した論考(後藤はる美「「考えられぬこと」が起きたとき」近藤和彦編『ヨーロッパ史講義』山川出版社、2015年5月刊予定)としてまとめた。 また、Early English Books Online、Eighteenth Century Collections Online、Making of the Mordern Worldなどのオンラインリソースを活用して同時代出版物の調査を実施すると同時に、夏季にはイギリス・ケンブリッジ大学図書館(ケンブリッジ)、英国博物館(ロンドン)および国立文書館(ロンドン)にて関係する資史料の調査・収集を進めた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究環境の整備も完了し、成果の一部をもとにした複数の論文が校正の最終段階にあり、おおむね順調に2年次の研究期間を終了した。夏季には予定通りイギリスにて資史料を調査し、その概要をつかんだ。
|
Strategy for Future Research Activity |
昨年度の成果をふまえ、事例研究をさらに発展・充実させることが次年度の課題となる。そのために夏季休暇中に渡英し、資史料の調査・収集およびイギリスの研究者との情報交換を行う予定である。 また、5月には革命期から王政復古期までを長期的に考察した論考が出版予定である(後藤はる美「考えられぬことが起きたとき」近藤和彦編『ヨーロッパ史講義』山川出版社)ほか、昨年度の成果の一部をもとに6月に「感情の文化史」のシンポジウムを企画している。 今後も中間的な成果を口頭報告、雑誌投稿をつうじて積極的に公表する。
|
Causes of Carryover |
前年度の繰越分で購入したPCが予算より安く購入でき、また本課題用務での夏季在外調査期間を当初の予定より短縮したため。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度の在外調査費用と物品購入に充当する予定である。
|
Research Products
(2 results)